「Nintendo Switch」はなぜ任天堂史上最も売れたゲーム機となったのか。ゲームジャーナリストのJiniさんは「1世代前の『Wii U』の失敗に学び、発売1年で多彩なゲームソフトを次々と投入した。これにより故・岩田聡社長が言う『勢い』を作り出せたことが大きい」という――。
任天堂スイッチのマリオカート 8 デラックス
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任天堂史上最も売れたSwitchの後継機種が間もなく誕生

2024年5月7日、任天堂はX上のアカウントにて、今期中にNintendo Switchの後継機種に関するアナウンスを行うことを発表した。

Nintendo Switch(以下、Switch)といえば、もはやゲームファンでなくとも名前ぐらいは聞いたことがあるゲームハードだ。任天堂の株主・投資家向け情報によれば、Nintendo Switchの販売台数は1億4132万台。据置機としては、過去最大のヒットを遂げたWiiの1億163万台を大きく上回っている。

これほどのヒットを遂げたSwitchの後継機種ということもあり、今回のアナウンスの予告には多大な注目が集まった。しかし、Switchは一体どうして任天堂史上最大のヒットを遂げるほどの成功を収められたのだろうか。Switchが他の歴代ハードと異なる強みや魅力はどこにあったのだろうか。Switch後継機種の発売も迫る昨今、改めてSwitchのマイルストーンについて分析したい。

逆境の中で生まれた「Switch」

改めて、Switchというハードウェアとは何だったのかという事実から確認していこう。

Switchが最初に公表されたのは、2015年3月。「任天堂株式会社 株式会社ディー・エヌ・エー 業務・資本提携共同記者発表」の中で、スペックや姿は一切わからないものの「NX」という開発コードのみ明かされる。

それから1年半後の2016年10月、当時の代表取締役社長の君島達己によって正式名称が「Nintendo Switch」であること、「自宅か外出先かを問わず、一人でも大勢でも楽しめる娯楽体験」がコンセプトであることが、具体的なハードウェアの詳細とソフトウェアラインナップともども発表された。

任天堂株式会社 株式会社ディー・エヌ・エー 業務・資本提携共同記者発表
任天堂株式会社 ニュースリリース 2016年10月20日

このように、一見して順風満帆に発表されたSwitchだったが、少なくとも現在の大ヒットから想像もできぬほど当初の反響は好意的なものだけではなかった。それは、Switchの前に発売された「WiiU」の不振に起因する。