「プラットフォームの成否は勢い次第」
これに対しWii Uは、最終的には『スプラトゥーン』のようなキラータイトルが存在していたものの、発売から1年以内に限れば決してタイトルが豊かとは言えなかった。
確かに『ピクミン3』『スーパーマリオ 3Dワールド』のような名作は存在するのだが、「マリオカート」「スプラトゥーン」のような鉄板タイトル、あるいは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『スーパーマリオ オデッセイ』のようなシリーズの革新的なタイトルほどのインパクトは市場にもたらさなかったのである。
実際、2014年1月に開かれた任天堂の説明会では「(Wii U)立ち上げの初期に(有力な)タイトルを出せていない」という厳しい指摘がなされ、それに対し、岩田聡は「プラットフォームの成否は勢い次第であり、勢いがあるうちは相乗効果が得られるが、勢いを失えばネガティブな効果がある。Wii Uはその勢いを作り出せていない状況」と非常に鋭い分析を見せている。
任天堂株式会社 2014年1月30日(木)経営方針説明会/第3四半期決算説明会 質疑応答
SwitchはこうしたWii Uの失敗を踏まえ、初期から妥協なくキラータイトルを送り続けることで、強引に岩田のいう「勢い」を作り出したことにより、その成功の土台を築く事に成功したのだ。
Wii Uの失敗があったからSwitchは成功した
それどころか、むしろ好意的に考えれば、Wii Uの失敗があったからこそSwitchの成功に至ったとも考えられる。
実は、Switchのロケットスタートの皮切りとなった『ゼルダ』は当初Wii U向けに開発していたが、内容を改善するうえでSwitch本体の発売日まで発売を延期し、WiiU版と同時に発売している『マリオカート8』はそもそもWii Uで発売されたタイトルをブラッシュアップして移植しているし、『スプラトゥーン2』もWii U版での実績を踏まえて改善したタイトルだ。
いずれのタイトルも、本来はWii Uにおける試行錯誤の賜物であり、Switch向けに一朝一夕で作ったものではない。Wii Uにおける頓挫を踏まえたうえで、ここでの研究や開発を次世代機であるSwitchに持っていくという冷静な判断こそが、実のところSwitch成功の秘訣だったのではないか。