2022年に発売された日本発のRPGゲーム『エルデンリング』が、全世界で2500万本超の大ヒットを記録した。ゲームジャーナリストのJiniさんは「2500万本のうち9割以上が海外で売れている。エルデンリングの世界的大ヒットには、日本のゲームが『輸出産業』として成功できた理由が詰まっている」という――。

9000円のゲームが全世界で2500万本も売れた

今、日本のゲーム産業は「輸出産業」となりつつある。

2022年、日本のゲーム会社「フロム・ソフトウェア」が発売した『エルデンリング』が今年までに全世界で2500万本売れたことが発表された。更に同年6月に発売されたばかりの、本作の大型追加コンテンツ『SHADOW OF THE ERDTREE』が500万本も売れたという。

2500万本といえば、『ポケットモンスター ソード・シールド』や『モンスターハンター:ワールド』に匹敵する本数だ。

こうしたタイトルと同様に、『エルデンリング』本体は定価が約9000円、追加コンテンツも約4400円と、決して安い買い物ではない。

一体なぜ、『エルデンリング』はこれほどの成功を得たのか。興味深いのは、『エルデンリング』は日本においてはそこまで売れたわけではない点だ。

9割以上の売上を海外で獲得

フロム・ソフトウェアは2022年3月に、国内出荷本数が100万本を超えたことを発表して以来、公式には日本国内における同作の売上を明らかにしていない。当初は全世界で1200万本出荷だったことを鑑みるに、日本でも200万本以上売れていても不思議ではないが、いずれにせよ世界全体の売上に対して10分の1。言い換えれば、90%以上の売上を海外で獲得しているということになる。

実は今、日本の(モバイルを除く)ゲーム産業は世界での売上が大多数を占める、圧倒的な「輸出産業」だ。『エルデンリング』ほどではないにしろ、1000万本を超える大ヒットタイトルの多くが、海外での売上を主としている。かつて「貿易大国」とうたわれ、様々な産業を輸出することによって盛えながら、現代では他国に圧されてしまった日本で、なぜゲーム産業は輸出で成功し続けているのか。その理由を『エルデンリング』から問いたい。