ネット上でゲームの購入、プレイが可能に

①:デジタルプラットフォームの到来

日本ゲームが売れるにあたり、最も重要になった分岐点の1つがデジタルプラットフォームの台頭だろう。

ここでいうデジタルプラットフォームとは、スマートフォンにおける「App Store」や「Google Play」などと同じく、ユーザーがゲームを購入することで、直接ダウンロード・インストールできるプラットフォームを指す。

かつてゲームはロムカセットやCD-ROMといった物理的な媒体を購入して遊ぶことが一般的だったが、デジタルプラットフォームの普及により、流通コストを大幅に抑え、ユーザーも幅広い範囲で発売当日から遊べるようになった。

その象徴が、PCゲームにおける最大のデジタルプラットフォーム「Steam」だ。2003年に北米のValveによってローンチされたこのサービスは、今や世界で同時接続者数が3000万人を超えるプラットフォームに成長。『エルデンリング』も当然ながらSteam上で販売され、ストアページにユーザーが寄せるレビューコーナーには66万5000レビューが集まるなど、売上の少なくない割合をこのSteamで得ていたことが推察できる。

Steam上のエルデンリングには67万件以上のレビューが寄せられている
Steam上のエルデンリングには67万件以上のレビューが寄せられている

今やグローバルに展開するデジタルプラットフォームはSteamだけではない。Nintendo Switchでアクセスできる「My Nintendo Store」、PlayStationでアクセスできる「PlayStation Store」、XboxコンソールやPCでアクセスできる「Microsoft Store」「Game Pass」など、コンソールからアクセスできるデジタルプラットフォームはここ20年で大きく発展し、ユーザーの間で定着している。

Steamの3割は中国語ユーザー

こうしたデジタルプラットフォームにより、日本のゲーム企業でも世界のユーザーに作品を届けることが容易になったことは、日本ゲーム産業の「輸出産業化」において、大きな役割を果たした。特にフロム・ソフトウェアのように(任天堂やSIEのような大企業と比べて)世界に流通できるような資本力のない企業、あるいはもっと小さい、個人で営む独立系ゲームスタジオ(いわゆるインディーゲーム)にとっては、大きな武器となったといえるだろう。

とりわけデジタルプラットフォームで一気に浮上した市場が、中国だ。Steamのユーザー統計情報を確認すると、最も多いユーザー言語が英語で35〜40%程度なのに対し、2番目に多いのが中国語(簡体字)でおよそ30%に昇る。

以前から中国はその圧倒的な人口に対し、政治的な障壁が大きかったものの、Steamを介して中国マーケットに届けられる点は、特に「輸出産業」として大きな進展だ(もっとも、そのデジタルプラットフォームも常に、直接的に規制されうる可能性はある)。