山梨県どころか静岡県の調査もなぜか認めた

森下部会長は「トンネル掘削のためにどうしてもボーリングをしたければ失われる水をリアルタイムで戻す方策とセットにして提案すべきだ」「その(セットとする)切り札は田代ダムからの取水を抑制する案だ」と強硬姿勢だった。

今回の会議では、山梨県内の調査ボーリングで田代ダム取水抑制をすることなど何ら議論されなかった。つまり、山梨県内の調査ボーリングと田代ダム案とは全く関係なかったのだ。これでは「科学者失格」としか言いようがない。

さらに驚くべきことに、山梨県側の調査だけでなく、これまで頑なに認めてこなかった静岡県内の調査ボーリングも専門部会は認めてしまった。川勝氏は静岡県内の調査ボーリングを拒否していたが、一転してしまったのだ。

それで、冒頭、あまりにも不思議と書いたが、実際には、あまりにもいい加減な会議となってしまったのだ。

「大井川利水関係協議会」のまとめ役、染谷市長は地質構造・水資源専門部会について「川勝知事の方針に沿って議論してきた専門部会であり、川勝知事が辞任するなら解体すべきだ」と主張していた。まさに、島田市長の懸念が露呈した会議となった。

結論ブレブレで静岡県行政の信頼はなくなるばかり

5月20日に調査ボーリングが再開されると、順調に行けば、県境まで5カ月ほどで到達する。その後、静岡県内の未調査区間をボーリングしていくことになる。

JR東海は田代ダムが設備改良工事のために取水停止されている2025年11月までの期間中に調査ボーリングを実施する予定だ。ただ調査ボーリングによって、静岡県の水は流出することは避けられない。

川勝氏は、JR東海との約束を根拠に、「水一滴の流出も許可できない」としてきた。川勝氏の退場とともに、JR東海との約束自体が見事に消え去ったかのようだ。

川勝氏の影響力がいかに大きかったのかわかるが、静岡県のリニア問題をうやむやにしてはならない。新知事は、まず専門部会を解体した上で、ちゃんと仕切り直すところから始めるべきである。それでなければ、静岡県行政の信頼性は完全に失われる。

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