生前贈与したい人は早めに着手を

事実婚のパートナー、甥や姪、親しい友人、慈善団体など第三者に財産を譲りたい場合、前述の遺贈のほかに「贈与」という方法もあります。

贈与には大きく分けて「生前贈与」と「死因贈与」があります。

生前贈与は存命中に他者に財産を渡すものです。受け取る側に贈与税がかかりますが、年間に受け取った贈与額が110万円以下の場合は非課税になるため、110万円超えの金額を贈与したい場合はこの制度を利用して1年単位で少しずつ贈与していきます。これを「暦年贈与」といいます。

ただし、受け取るのが相続人の場合は、贈与者の死亡前7年以内の贈与に贈与額が加算(生前贈与加算)されてしまいます。生前贈与したい場合は早めに行いましょう。

「死因贈与」は書面を作成したほうがいい

曽根恵子監修『子のいない人の相続準備』(扶桑社)
曽根恵子監修『子のいない人の相続準備』(扶桑社)

相続や遺贈を受けない人は生前贈与加算の対象外です。また、婚姻20年以上の夫婦が、居住のための住宅や住宅購入資金を配偶者に贈与する場合は、最大2000万円が非課税になります。

死因贈与は、「私が死んだらこの財産を贈与する」という契約を結び、死後に贈与することです。「介護してくれたら財産を贈与する」といった条件付きの「負担付死因贈与」にもできます。契約は口約束も認められていますが、トラブルを避けるため書面を作成すると確実です。

ただし、契約となるため18歳以上(親の同意があれば未成年でも可)に限られます。また、相続税の課税対象となります。

【関連記事】
こうすれば「年金ひとり暮らし」が一気に優雅になる…楽しく節約しながら脳イキイキの法則
気前のいい祖父母はいずれ続かなくなる…孫に小遣いを執拗に求められたときに切り返す"秀逸な言葉"
国民年金だけでは「地獄の老後」になる…月10万円の3LDKに住む50代夫婦に司法書士が"引っ越し"を勧めた理由
子供に1000万円課金しても大学偏差値が3上がるだけ…賢い親は気づいている中学受験以外の課金先2つ
実は賃貸に住む建築家が多い理由…プロがこっそり教える「住宅会社が絶対に言わない"住まい"の真実」【2023下半期BEST5】