ゴムひもみたいに伸ばしたり、縮めたりして暮らす

あるとき、そうした暮らし上手のコツを尋ねたところ、「赤字はできるだけ早く埋め、長く持ち越さないことが大事」と、明快な答えが返ってきました。このあたりにも、彼女の聡明さがよく表れています。

毎月の生活費予算を日割りにすると、一日に使えるお金はいくら、と出てきます。楽しい誘いなどがあって、その出費枠を超えることがあっても、できるだけ積極的に参加すると決めているそうです。

その代わり、翌日からは超節約モード。

たとえば、冷蔵庫のありあわせで1日か2日すごして支出を抑えたりもしています。こうして短期間に赤字を解消していけば、月単位の赤字はめったに出ないとか。

保坂隆『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)
保坂隆『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)

「毎日の予算枠は決まっているけれど、ゴムひもみたいに伸ばしたり、縮めたりして暮らすんです」と、またしても明快な言葉が飛び出します。

毎日、使ったお金を書き出し、今月は今日までいくら使ったか、合計額も書き出します。こうすると、今月は残り何日ある、予算はいくら残っている。

あるいは、もうこれだけしか残っていないから締めていこう、などと自分なりの調整力が働きます。これも、大きな赤字を出さないためのコツだそうです。

月末にはその月の出費を見直し、不要な出費だったと思えるところには赤線を引いて、しっかり自己反省もしています。

せめて気持ちだけはおおらかに暮らす

ふだんから節約しているので、毎日、出費を書き出すのにかかる時間はせいぜい2、3分。月末のチェックと反省でも数分程度です。こうした時間を持つようにしてから、赤字を出したことはないと自慢していました。

限られた枠内の年金暮らしだからといって、四六時中、倹約ばかりでは疲れてしまいます。人生はまだまだ長いのです。

行きたいところには出かけていく。でも、その後でしっかり締める……。こんな緩急自在の賢いマネー管理術で、せめて気持ちだけはおおらかに暮らしたいものです。

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