「ホーソン効果」を応用した生活費のやりくり法

日常の生活費を抑えるのはかなり大変なことです。日々苦労しているという人も少なくないでしょう。そんな人に紹介したいのが、「ホーソン効果」という心理を応用した生活費のやりくり法です。

ホーソン効果とは「監視や観測をしていると、その人の行動が改善される」という心理現象で、以前流行した「レコーディング・ダイエット」がその典型例です。

レコーディング・ダイエットは、「○○の摂取を控える」などといったこれまでのダイエット法とはまったく異なり、食べたものと体重を毎日ノートにメモするだけというシンプルなものでした。

簡単ではありますが、「クッキーを食べたら体重が1キロ増えたから、やはりお菓子はやめておこう」「野菜中心の食事に変えたら、体重が2キロ減った」といったように、原因と結果の関係が明確になるので、自然と食生活(行動)が改善されるというわけです。

これを生活費のやりくりに当てはめると、「支出を抑えるためには、買ったものや光熱費をメモしておく=家計簿をつける」のが大切になります。

これが「監視や観察」に当たり、その結果、無駄な買い物をしていると、そのことに気づきやすくなるし、節約もしやすくなる(行動の改善)というわけです。

キッチンに立つ高齢女性
写真=iStock.com/adamkaz
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生活費のやりくりはなぜ、1週間単位がおすすめなのか

それに加えて、私は「生活費をうまくやりくりしたければ、週単位で家計簿をつけるといいですよ」とアドバイスしています。

ほとんどの人が、「どうして月単位ではなくて、週単位なのか?」と思うはずです。日本では給料が月単位で支払われることが多いため、「収入・支出も月単位で計算するもの」と思い込んでいる人が多いのでしょう。

しかし、たとえば夏の気温が例年に比べて高いと、大都市圏では7~9月にエアコン代(電気代)が連続してかなりかかるでしょうし、寒冷地なら冬場の数カ月で暖房費が光熱費の予算をオーバーしてしまうでしょう。

こんなことが続くと、「生活費が一定しないから、やりくりしても無駄では……」という気持ちに傾きがちです。

その点、1週間単位でやりくりする習慣をつけると、確認すべき領収書の量も減るし、生活費の変動幅も月単位よりはるかに小さくなり、何が無駄なのか、すぐに把握できるようになります。

「だんだん寒く(暖かく)なり始めたら、次週の予算は1万円プラス(マイナス)しよう」などと予測もつけやすくなります。