※本稿は、下村志保美『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
「節約」=「安いものを買う」ではない
さていよいよ、部屋の中のみならず、家計、お財布といった「お金」の整理整頓の仕方も学んでいきましょう。まずは節約の意識から見直してほしいのですが、節約とは、予算の中から本当に必要なものだけを吟味することです。
近年、節約に結びつけて特売やセールが盛んに行われていますが、安売りと節約はイコールではありません。片づけが苦手なお宅へお邪魔すると、節約することと、安いものを買うことを混同されている方が多いなと感じます。
いくら安くても、必要のないものを買っていたら、それは浪費になります。「お得や特売を活用しているはずなのに、なぜか家計に余裕がない」という人は、節約のつもりが、思わぬムダ遣いや予算オーバーにつながっているのかもしれません。
レシートを溜めても紙ゴミになるだけ
とあるお客様の家に伺った時のことです。「下村さん、これはどうしたらいいでしょうか?」と彼女が差し出してきたのは、大きな紙袋3つ分のレシートでした。「家計簿をつけようと思って溜めていたレシートなんですが、結局、家計簿自体は早々に挫折したものの、レシートだけを集め続けてしまった」とのこと。
紙袋からレシートを取り出してみたら、「いつのお買い物?」というぐらいの古いレシートだらけでした。中には、印字が薄くなってプリントしてある値段が読めなくなってしまい、もはやただの紙ゴミと化しているものもたくさんありました。
結論から言うと、レシートを集めて家計簿をつけるだけでは、お金は貯まりません。貯まる家計とは、収入が支出を上回る家計。収入から支出を引いた金額が貯蓄となります。
つまり支出が減れば貯蓄が増えますが、すでに使ってしまったお金の記録であるレシートを集めてもお金は増えません。レシートを溜めることで「節約行動」をしているような気持ちになる分、むしろ逆効果かもしれません。