出ていく金額は小さくするに越したことはない

さらに1週間単位のやりくりに変えると、心理的負担も少なくなります。

目標を切り刻んだほうが気持ちの負担を減らせるのですが、その場合の「目標」は、お金を貯めるときだけでなく、お金を使うときにも使える心理テクニックです。

たとえば、「今月の支出は16万円だ」というのと、「今週の支出は4万円だ」というのでは、心理的負担はまったく違ってきます。現実的には、後者のほうが支出額が大きくなる場合が多いのですが、心理的負担は逆に小さくなります。

「家計簿をつけるのが嫌い」という人にその理由を聞いてみると、「支出の多さにストレスを感じる」と答えるケースが多いようです。

定年後に収入が少なくなると、ますます「支出」という言葉に敏感になり、ストレスを感じるようになりますから、出ていく金額は小さくするに越したことはないでしょうね。

家計簿をつけながら頭を抱える高齢女性
写真=iStock.com/Krisada tepkulmanont
※写真はイメージです

限られた年金でも赤字にならない暮らし方

本を出している関係でフリーの編集者ともつきあいがあります。フリーの人は組織の縛りがないので、自分のペースで仕事ができ、腕一本で生きている様子はさっそうと映ります。

ただし、年齢を重ねるにしたがい、見えない苦労が増えていくようです。

もちろん、定年はないのですから、いつまでも仕事ができるわけですが、実際はしだいに仕事が減っていくケースが多いようです。あるいは、そろそろゆったりとした時間を楽しみたいと、あえて仕事を減らしている人もいるようです。

公的年金は国民年金だけ。フリーランサーだけでなく、商店や農業、漁業など自営業の人をカバーする国民年金の支給額は、厚生年金の半分にも満たないレベルで、年金暮らしはかなり厳しいのが実情のようです。

フリーの女性編集者のSさんは、数年前から年金を受給しています。シングルを通した人なので、夫の年金という支えもなく、国民年金一本です。そろそろ自分の時間を楽しみたいと考え、仕事を抑えて趣味の活動を楽しむようにシフトしています。

生活費の予算枠は、現役でバリバリ仕事をこなしていた頃の半分ほどに縮めたそうです。でも、ときどきは旅行も楽しめば、割り勘でお酒を飲むというような席にもよく顔を出します。