人はどんな時に不倫をするのか。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「『結婚はしているが、異性と交流したい』というニーズに応える既婚者向けのマッチングアプリを使ったことがある人が増えてきた。気軽に使い始めたことがきっかけで、底なしの不倫沼を経験する羽目になった人もいる」という――。

「大人の友情」を求めた男女が「底なしの不倫沼」に

「結婚はしているが、異性と交流したい」というニーズに応えるための既婚者向けマッチングアプリを使ったことがある人は、私のまわりにも増えている。

携帯電話を持ちながらソファに座っている若いアジア人男性
写真=iStock.com/koumaru
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以前はマッチングアプリといえば独身の男女が活用する出会いのためのツールと決まっていて、そこに身分を偽り既婚者が混入することでトラブルが生じたという話もよく聞いた。ところが最近は、はじめから既婚者同士と知ったうえで、出会いを求める男女も少なくない。

「お互いに既婚者と知って出会えば、恋愛感情が生まれることなく穏やかな大人の友情を育めるのでは?」と考えるかもしれないが、現実はその限りではない。そこで今回は、既婚者向けマッチングアプリに手をそめたことがきっかけで、底なしの不倫沼を経験する羽目になったケースを紹介したい。

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夫からの「セックス卒業宣言」

【CASE1】セックスレスの不満をぶつける相手がほしかった妻

「マッチングアプリをはじめた理由は、夫とのセックスレスで悩んでいたから」と話すのはK美さん(42歳)。結婚13年目、小学6年生の子どもがひとりいる会社員だ。2歳年上の夫とは、出産をきっかけにセックスレス状態。

「子どもが生まれて数年間は、夫から何度か求められることがあっても、はじめての育児で余裕がなかった私が拒んでいました。夫もそのことに理解があると思っていたし、そのうちまた再開すればいいと楽観的に思っていたのです。ところが、気づけば子どもが小学校に上がる頃になってもセックスはなし。そこではじめて『これって、もしかしてセックスレス?』と気づき、焦った私はその晩夫を誘ってみたものの『ごめん。今さらもうK美のことを抱く気はないから』と夫のほうから断られてしまったんです」

夫からのセックス卒業宣言に深く傷ついたK美さんは、夫婦問題について誰かに相談したかったものの、まわりに適切な相手がいなかった。