悩んでいる人は、悩みを問題化することができない

ひとり言のすごい効果②
「悩み」を言語化することで解決に導く

「悩み」というのは、脳科学的に言うと、「問題を言語化できていない状態」だといえます。

たとえば、なかなか彼女ができない、と悩んでいる人がいたとします。

職場に異性が少なく、出会いがないとか、性格が消極的で自信がないとか、容姿が人より劣るとか、彼女ができない理由がいくつかあるはずです。

その理由をしっかりと認識しているのであれば、改善できるものは改善すればいいということになります。

仮に、背が低いとか容姿が人より劣っている、と感じていたとしましょう。

それでもおしゃれをしたり、清潔にして身だしなみを整えることで、かなり印象が変わります。

消極的で自信がないという人は、たとえば自分の趣味や興味のある分野を突き詰めて、他人にこれだけは負けないとか、自慢できるというものを持つことで、かなり意識が変わるはずです。

職場に出会いがないのであれば、サークルだとか勉強会など、いろんな場に足を運んでみることだってできるでしょう。

そのうえで、どうしても改善したり、変えることができないものもあります。

たとえば自分の出自だとか、出身地、人種などはどうあがいても変えることはできません。

そういうコントロール不可能なものに関しては、最初から悩んでも仕方がないでしょう。

残ったコントロール可能なものに関しては、とにかく改善、改良をすればいいということになります。

つまり、悩みというのは、本来は解決するべき問題や課題に変えることができるということです。問題や課題にできるということは、必ず解決する方法があるということなのです。

ですから、何かに悩んでいる人は、悩みを問題化することができない人、ということができます。

ここで、ひとり言が大きな力を発揮することになります。

「何が問題なんだろう?」
「どう改善すればいいのかな?」

声に出してもいいし、声を発せず内言語でもいいでしょう。

いずれにしても、そうやって自問自答を繰り返すことで、悩みはいつの間にか解決するべき問題に変わっていくはずです。

ひとり言は悩みを問題化し、解決に導く有効な手段なのです。

内なる声を尊重し従い、大きな失敗を回避

ひとり言のすごい効果③
違和感を覚えたら、注意する

私は研究者ですから、自分以外の研究者のさまざまな論文や説を目にしたり、耳にする機会があります。

すると、中には直感的に「いや、それは違うんじゃないかな?」と感じるものがあります。

加藤俊徳『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)
加藤俊徳『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)

ただし、どこがどう違うか、その段階では論理的に指摘することができません。

ただ、一種の違和感のようなものを覚えるのです。

この「違和感」を、私はとても大事にしています。

というのも、言葉ではなかなか説明がつかない違和感が、結局当たっていることが多いのです。ほとんど、百発百中といってもいいのではないでしょうか。

おそらくですが、この違和感は、非言語情報を司る右脳からのメッセージだと考えています。

非言語的なメッセージですから、理屈や理論では説明できません。ただ、イメージとして何かおかしい、違和感がある、という感覚が沸き上がるわけです。

そこで時間をかけていろいろ検証してみると、やはり矛盾やほころびがロジカルなレベルで明らかになります。

やっぱり直感が当たっていたんだ、ということになるわけです。

この直感に、私はずいぶんと助けられてきました。

「なんか、おかしいなぁ……」
「どうも、腑に落ちないけど、なんだろう?」
「なんか気持ち悪いけど、どういうこと?」

思わず、声として口に出てくるときもあれば、内言語として心の中で鳴り響くこともあります。

このひとり言を、私はとても重要視しています。

なぜなら、それこそが右脳のセンサーに、真っ先に引っ掛かったシグナルだからです。そして、違和感のひとり言が出てきたら、絶対にどこかおかしいところや間違いがあるはずだと信じて、今度は左脳をフル回転させて検証に専念するのです。

このことは研究の現場だけではありません。日常でいろんな人に会ったときの第一印象も、右脳からのシグナルをもとに判断しています。

「この人は、人を裏切りそうな感じがする」
「この人と仕事をすると、トラブルが起きそうだ」

内なる声を尊重し、従ったことで、大きく失敗したということは今のところありません。

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