みそ汁に対するこだわり

びっくりドンキーのモーニングは、多彩なメニューがそろう。

「シンプルな『プレーントーストセット』以外に、レストランらしいメニューもご用意しています。朝からハンバーグを食べたい方向けに、一番人気のチーズバーグを100グラムにした『ミニマムチーズバーグディッシュ セット』(810円~)もあります。『ドンキースペシャル ブレックファスト(スクランブルエッグ)チーズトースト』(990円~)はホテルの朝食を意識したメニューです」(堀さん)

いずれのモーニングもドリンクorみそ汁つき。ホットコーヒーだけでなくアイスコーヒーもおかわり自由だが、みそ汁を選ぶお客さんも多いという。

意外にも人気メニュー第3位のみそ汁
プレジデントオンライン編集部撮影
意外にも人気メニュー第3位のみそ汁

「ハンバーグに合うよう、コクのある信州みそで、中に入る具材は週替わりです。みそ汁はふたつきで提供しています。冷めにくいだけでなく、蓋を開けた時にみそや出汁だしの香りを感じていただきたいからです。少しずつ調理し、1時間45分以内にみそ汁を使い切る。各店で天然出汁からとって毎日作っているのも特徴です」

そうしたきめ細やかさが評価されたのか。「2023年の売り上げランキングはチーズバーグディッシュ、レギュラーバーグディッシュに次いで、みそ汁が第3位」だという。

今回取材した南池袋店(東京都豊島区)の入り口には、本日のコーヒーならぬ「本日のみそ汁 3種類の具が入っています 海苔 油揚げ 青ねぎ」と掲げてあった。

南池袋店の入り口に掲げられていた「本日のみそ汁」の具材
プレジデントオンライン編集部撮影
南池袋店の入り口に掲げられていた「本日のみそ汁」の具材

卵かけご飯に添えるのは醤油ではない

朝のメニューらしく「卵かけご飯」(330円)も提供する。面白いのは醤油ではなく、オリジナルのハンバーグソースが用意されること。頼めば醤油も出してくれるが、多くのお客さんがハンバーグソースをかける。

「びっくりドンキーのハンバーグソースは、和風の醤油ベースでご飯とみそ汁に合う味つけにしています。そのレシピは厳格に管理されており、社内でも数人の関係者しか知らない秘伝の味ですが、卵かけご飯にも合う味なのです」(堀さん)

爆発的に利用とまではいかないが、午後の時間から「ちょい飲み」する人も増えた。北海道小樽市で製造する自社製クラフトビールを頼む人もいる。近年は単品メニューも充実させており、「さくさくイカ唐揚げ」や北海道の会社らしく「ザンギ&ポテト」もある。

前編で紹介した5つの特徴のうち、「時間帯別に楽しめる」メニューをそろえた結果、モーニングやちょい飲みの利用が増えて売り上げに上乗せされた。

こうした施策が功を奏したようだ。びっくりドンキーチェーンとしての年間売上高は2023年3月期に666億円と過去最高を記録し、2024年3月期は700億円以上を見込む。びっくりドンキーの店舗数もコロナ前の「330店」(2019年)から「343店」(2024年2月末)に拡大した。