ハンバーグチェーン「びっくりドンキー」が好調だ。びっくりドンキーチェーンの売上高は666億円(2023年3月期)で過去最高を記録している。好業績を牽引しているのが、2021年から本格的に始めた「モーニング」だ。なぜモーニングを始めたのか。どんなメニューが人気なのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんが取材した――。(後編/全2回)

びっくりドンキーがモーニングを始めたワケ

前編から続く)

2020年春から始まったコロナ禍で外食産業は大きな打撃を受けた。外出自粛や各種の規制による店舗休業・営業時間短縮で売り上げが激減。売上減を補うために、各店がテイクアウトやデリバリーに力を入れたのはご存じのとおりだ。

ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」(運営は株式会社アレフ、本社:北海道札幌市)の業績回復は競合に比べて早かったが、持ち帰りに注力した結果、コロナ前まで来店客数比で0.8%だったテイクアウトが、ピーク時にはデリバリーも含めて10%まで伸びた。現在も約5%前後を維持し、売り上げを支えている。

びっくりドンキー南池袋店入り口
プレジデントオンライン編集部撮影

来店客の利用時間帯も変わった。

「コロナ以前から深夜時間帯のご利用は減っていましたが、コロナによって加速。現在はディナーのご利用時間が早まりました。コロナ前は18時~20時台の時間帯がピークでしたが、17時~19時台になっています」

FC店舗運営部部長の堀雅徳さん(アレフ びっくりドンキー店舗運営本部)はこう話す。

一方、新たな時間帯での利用に訴求してきた。その代表がモーニングタイムだ。

朝食目当ての新しい客層が生まれた

「コロナ前から朝の時間帯に注目していましたが、コロナ禍で背中を押されるようにモーニングメニューを導入したのです」(堀さん)

2024年2月時点で、国内店舗数343店のうち約260店で「モーニング」(開店~11時)があり、大半の店で営業時間が朝8時からと早くなった。コロナ禍が始まってすぐの2020年4月に宮城県内の店でモーニングを導入すると、同年10月には東北各県の店舗に広げ、翌2021年7月には全直営店で導入が完了。その後、FC(フランチャイズチェーン)店にも広げていった。

現在の状況はどうなっているのか。

「ご利用は増えています。朝の利用はルーティン化するようで、週に2~3回ご利用される方もおられます。以前は私たちも『レストランだから11時頃から営業』といった意識を持っていたのですが、導入した結果、ご利用時間帯の幅が広がりました」(同)

たとえば、トーストとゆで卵がつく「プレーントーストセット」(380円~ 店舗によって価格が変わる、以下同)を頼めば、ドリンク単品では390円の「いきいき乳酸菌ヨーデル」も選べる。朝の時間帯は半額で楽しめる感覚だ。

飲食店の「モーニング(サービス)」は、かつては喫茶店の代名詞だった。それがマクドナルドの「朝マック」に代表されるように、ハンバーガー店、立ち食いそば店、牛丼チェーン、ファミレスなど多くの業態が導入するようになった。