びっくりドンキーがモーニングを始めたワケ
(前編から続く)
2020年春から始まったコロナ禍で外食産業は大きな打撃を受けた。外出自粛や各種の規制による店舗休業・営業時間短縮で売り上げが激減。売上減を補うために、各店がテイクアウトやデリバリーに力を入れたのはご存じのとおりだ。
ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」(運営は株式会社アレフ、本社:北海道札幌市)の業績回復は競合に比べて早かったが、持ち帰りに注力した結果、コロナ前まで来店客数比で0.8%だったテイクアウトが、ピーク時にはデリバリーも含めて10%まで伸びた。現在も約5%前後を維持し、売り上げを支えている。
来店客の利用時間帯も変わった。
「コロナ以前から深夜時間帯のご利用は減っていましたが、コロナによって加速。現在はディナーのご利用時間が早まりました。コロナ前は18時~20時台の時間帯がピークでしたが、17時~19時台になっています」
FC店舗運営部部長の堀雅徳さん(アレフ びっくりドンキー店舗運営本部)はこう話す。
一方、新たな時間帯での利用に訴求してきた。その代表がモーニングタイムだ。
朝食目当ての新しい客層が生まれた
「コロナ前から朝の時間帯に注目していましたが、コロナ禍で背中を押されるようにモーニングメニューを導入したのです」(堀さん)
2024年2月時点で、国内店舗数343店のうち約260店で「モーニング」(開店~11時)があり、大半の店で営業時間が朝8時からと早くなった。コロナ禍が始まってすぐの2020年4月に宮城県内の店でモーニングを導入すると、同年10月には東北各県の店舗に広げ、翌2021年7月には全直営店で導入が完了。その後、FC(フランチャイズチェーン)店にも広げていった。
現在の状況はどうなっているのか。
「ご利用は増えています。朝の利用はルーティン化するようで、週に2~3回ご利用される方もおられます。以前は私たちも『レストランだから11時頃から営業』といった意識を持っていたのですが、導入した結果、ご利用時間帯の幅が広がりました」(同)
たとえば、トーストとゆで卵がつく「プレーントーストセット」(380円~ 店舗によって価格が変わる、以下同)を頼めば、ドリンク単品では390円の「いきいき乳酸菌ヨーデル」も選べる。朝の時間帯は半額で楽しめる感覚だ。
飲食店の「モーニング(サービス)」は、かつては喫茶店の代名詞だった。それがマクドナルドの「朝マック」に代表されるように、ハンバーガー店、立ち食いそば店、牛丼チェーン、ファミレスなど多くの業態が導入するようになった。