中年男性にとって「生きづらい社会」

男性、特に中年男性にとって、これほど生きづらい社会が、かつてあっただろうか――。と、いきなり被害者マウントを取りたいわけではない。ただ、私(45歳)を含めた「おじさん」にとって、何をしてもハラスメント、と言われかねない風潮がある。

頭を抱えるビジネスマン
写真=iStock.com/kuppa_rock
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「彼氏いるの?」はもちろん、「きれいだね」などと女性に向かって口走る男性は、絶滅したとまでは言えないのかもしれないが、少なくとも表立っては見えない。セクシュアルハラスメントだけではない。怒鳴るどころか叱責する上司さえ、一部のブラック企業を除いては、ほとんど見られない。パワーハラスメントは、職場で最も嫌われるからである。

私は、企業や団体で12年半、大学教員として10年半、と、いまのところほぼ半々で働いてきた。この20年あまりは、ハラスメントの基準が厳しくなる、というか、正常化してきた歴史だったので、文字通り隔世の感がある。そんな私が考える「サバイバル術」とは何か。ここでは、それを探りたい。

「ハラスメント」を日本語にすると…

もとより、この「ハラスメント」というカタカナは、日本語では何を指すのだろうか。辞書的に言えば、「嫌がらせ」を意味するharassの名詞形であり、『オックスフォード英語大辞典』(OED)によれば、既に300年ほど前には使われていたという。このことばがカタカナのまま使われているのは、いわば「嫌がらせ」以上、「犯罪」未満だからかもしれない。

性暴力をはじめとして「犯罪」というほかない蛮行を、時折「ハラスメント」として処分したり報道したりしているのは、この曖昧さによる。刑法犯に完全に当てはまるわけではないものの、かといって、度を越している。グレーゾーンが広いから、このことばがあり、そして、いつまでもカタカナのまま流通している。

【Close-up:それ「ハラスメント」ですよ】
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最近でも、警視庁の男性警視正が「不機嫌ハラスメント」で処分が報道された(参考〈どんなに優秀でもこれ以上は「一発アウト」…警視庁が身をもって示した「不機嫌ハラスメント」処分の境界線〉プレジデントオンライン、2026年3月13日8時配信)。

また、インターネット番組「Abema Prime」でも、たびたび「ハラスメント」が取り上げられている(参考〈相談される側の心が病んだ…ハラスメント対応で苦しむコンプラ担当者たちの苦悩「私も人間。チャットボットではない」解決策はあるのか〉ABEMA Prime、2025年9月15日11時配信)。

それほどまでに常に議論を呼び、厳密には線を引きにくい。本稿を含め、決定版と言える議論ない。