「髪の毛切った?」という会話すらアウト
だからといって、この曖昧さを批判したいわけではないし、人それぞれ、と誤魔化したいわけでもない。厚生労働省が作成した「あかるい職場応援団」というサイトでは、「客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません」と明記してあるからである。裏を返せば、たとえば、「髪の毛切った?」とか、「その服、似合わないね」といった会話が「業務上必要」でなかったら、「ハラスメント」になるからである。
では、あらゆる言動を慎まなければならないのかと言えば、そうでもない。「サバイバル術」を探らなければならない。そのためには、なぜ「ハラスメント」をめぐって、私たちは語り続けるのかを考えなければならない。
この理由を考える格好の素材がある。先月22日と29日にフジテレビで放送された「ザ・ノンフィクション 今どきじゃない会社で夢みる僕と私の新入社員物語」である。東京・池袋のベンチャー企業「グローバルパートナーズ」に密着したこの作品は、ソーシャル・メディア上でも大きな話題を集め、賛否両論が巻き起こった。
パワハラになるかは「信頼関係」次第
「ブラック企業」と呼ばれるのは百も承知で、朝礼での絶叫にはじまり、激ヅメとしか言いようのない指導が続く。踊ったり声を出したりするのは、飲み会に限らない。合言葉の「ゾス!」を叫ぶのが、社員たちにとっては誇りのように見える。
外から見れば「ハラスメント」ととられかねないのに、中の人たちにとってはプライドを持って堂々としている。このギャップを探ろうと取材を続けたテレビマンユニオンのディレクター・鳥居稔太氏は、マイナビニュースの取材に、次のように答えている。
鳥居氏の言う通り、信頼関係の有無が「ハラスメント」を決める。そんなことは「当たり前」だと思われるかもしれない。ただ、その「当たり前」が人それぞれ違うから、「ハラスメント」から私たちは逃れられない。「ハラスメント」について語り続けざるをえないのではないか。

