N-BOXは無印良品、スペーシアはニトリ
車内はどちらもリビング感があり、お部屋っぽいデザインです。しかし、路線がこれまた違います。まずそれがうかがえるのはシートの表皮や形状です。どちらも家具調ですが、N-BOXはよりシンプルかつ上品さを追求し、表皮はよりキメの細かいファブリック。
かたやスペーシアはN-BOXよりキメが荒いザックリとした生地を採用。N-BOXが無印良品のソファだとしたら、スペーシアはニトリのソファー。そういったテイストの違いがあります。
さらに面白いのは収納スペースに対する考えで、新型N-BOXは収納をあえて減らしています。先代N-BOXにあった、運転席前のフタ付きモノ入れやドアノブ回りの小物入れを廃止し、その分フタ付きでグローブボックスのサイズを拡大しています。あえて言うと「オシャレな隠せるモノ入れ」に変えたのです。
なかでも印象的なのは助手席前の大容量のタナで、それを廃止し、より高い位置にコルフ風素材の少容量のタナを付けました。使いやすさ以上に、見栄えを重視した、これまたある種のオシャレ雑貨風インテリアです。
インパネにテーブルを作ったのは車中食のため
一方新型スペーシアはそれとは真逆で、N-BOXが今回捨てた助手席前の大容量タナをあえて採用。それも奥行きを今まで以上に広げ、利便性を高めています。
聞けば、消費税の軽減税率導入以降、コンビニでは弁当やカップ麺を店内で食べる人が減り、駐車場の車内で食べる人が増えたとか。
それを知ったスペーシア開発責任者の鈴木エンジニアは、決してオシャレではありませんがダイニングテーブル代わりにタナを用意したのです。
そのほかスペーシアはN-BOXにはないエアコンの冷気をリアに送る「スリムサーキュレーター」や「リア席UBS」に加え、前代未聞の「マルチユースフラップ」を初装備。
これは広いリア席を持つ軽スーパーハイトならではの新機能で、座面前に付けられたフラップを伸ばすと、高級車のオットマンさながらにひざ下を支えることができます。まさしく軽自動車ならではのアイデア装備。
内外装共によりオシャレ家電化したN-BOXに対し、より便利に道具化したのがスペーシアの真の姿なのです。
インテリアカラーや樹脂パネルもN-BOXの方が上質ですが、スペーシアはブラック樹脂に加えてカフェオレ色や茶色を使った3トーン構成。質感ではやはりN-BOXに分がありますが、ギミック感やインパクトではスペーシア。
方向性が異なるなかなか興味深いバトルとなっているのです。