「学園ラブコメ」は海外でもウケる
人気シリーズがひしめき合っていた2023年夏。呪術のみならず『無職転生 II ~異世界行ったら本気だす~』も『ホリミヤ -piece-』も『BLEACH 千年血戦篇-訣別譚-』も『彼女、お借りします』も『文豪ストレイドッグス』もトップ10はすべて2期以降のシリーズものである。
そうした中で初めてのアニメ化作品ながら「ゾン100」とともに『わたしの幸せな結婚』が健闘し、ノーマークだった『好きめが(好きな子がめがねを忘れた)』の躍進が注目すべきところである。
隣の席のド近眼の女の子がメガネがないことで超至近距離まで接近したり、間違った相手にチョコを渡したり、天然ボケをかましまくる。
どうみても長期連載に限界がありそうなストーリーは、『月刊ガンガンJOKER』(KODOKAWA)で2018年から連載されすでに11巻刊行、100話以上となっている。隣人の顔すら識別できない近眼のヒロインはすでに100回以上眼鏡を忘れていることになる。
好きな子からの無自覚な接近イベントが連発する「ゼロ距離ラブコメ」とも呼ばれ、毎度純情な主人公と近づくのか近づかないのかの絶妙な距離感に心臓が圧死する様を、ほほえましく鑑賞するのが本作の正しい視聴スタイルである。
友達以上恋人未満の関係性は、基本的に遅々としてしか進行しない。それを、北米も南米も欧州もアジアでも、固唾をのんで見守るファンがひしめき合っている。
『からかい上手の高木さん』(2018年冬)を彷彿とさせるこうしたほっこりとした学園アニメは“空気系”の伝統がある日本以外でほとんど見たことがない一大ジャンルに進化する可能性を秘めている。
『スキップとローファー』『僕の心のヤバイやつ』も含め、日本は「学園ラブコメ」「ゾンビラブコメ」など“新解釈”モノの天国である。