人気バラエティー番組「水曜日のダウンタウン」(TBS系)の「テレビロケが一度も来たことのない飲食店を探す」という企画がネット上で批判を集めた。神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「飲食店に対して失礼な演出があったのは問題だが、企画の意図を読み解くと、日本社会の『空気』そのものをネタにしようとした挑戦的な内容だったことがわかる」という――。

「水曜日のダウンタウン」の炎上

1月24日にTBS系列で放送された「水曜日のダウンタウン」の「テレビのロケが一度も来たことのない店、東京23区内にも探せばそこそこある説」が批判にさらされた。

問題とされている企画は、お笑い芸人6人が3チームに分かれて、抽選で東京23区のなかの区を指定され、「テレビロケが一度も入ったことのない店を4連続で当てるまで帰れない」というものだった。

テレビ取材を受けた経験のある店に入ると「ドボン」として、それまでに「当てて」いた=取材未経験の店舗数がリセットされ、当該店の看板メニューを完食しなければならない。

フードジャーナリストの山路力也氏が1月26日配信のヤフーニュース「なぜ『水曜日のダウンタウン』の飲食店ロケ企画は炎上したのか?」で指摘しているように、「『テレビのロケが一度も来たことのない店』を探すという企画自体は決して新しいものではない」ものの、次の点で問題があった。

しかし今回の場合は「こんな店には取材は来ないだろう」という、テレビに登場したことのない飲食店に対するネガティヴなアプローチが前提にあった。この状況下においてはタレントの振る舞いはもちろん、番組演出のトーンも必然的に飲食店をバカにしたような形にならざるを得ない。番組制作側は最初のスタンスで間違ってしまったのだ。

「当たり」だった店では、料理はおろかお店の紹介もほとんどない。「ドボン」=取材経験ありの店で看板メニューを食べるのは、それなりに美味しいという判断なのか。それでも、罰ゲームのように仕立てるのは失礼だろう。

「炎上」の理由と教訓は、山路氏の記事に尽きているから、わざわざ書く必要はない。

あらためて考えたいのは、今回の「炎上」では、ほとんど話題にならなかった、この企画のルール=「取材NGはノーカウント」についてである。「ノーカウント」とは、取材経験ありとは数えない、との決まりである。