白黒つけたがる日本人に必要な視点

しかし、一方で、何でもかんでも「①リアル」を求める人たちがいました。

「③テキスト」などはもってのほかで、「②オンライン」でもなく、どのような場合でも「①リアル」がベストという人たちです。

彼らはある意味、「多様性を認めない強者」なのです。時間も場所も制約がなく、いつでもミーティングができる人たちです。イメージでいうと本社や本部の偉い人です。必要であれば自分の部屋や会議室に部下をいつでも呼べます。

地方から東京の本社や本部に来る人は、(2でできる内容を)数時間の「①リアル」のために、同じくらいの時間をかけて来るのです。もちろん、それに値するだけの価値がある会議であればよいのですが、必ずしもそうでないケースも少なくありませんでした。

でも、彼らは決して本社に文句を言いませんでした。

言うと嫌われてしまうからです。

新幹線に乗り込むビジネスマン
写真=iStock.com/aluxum
※写真はイメージです

今回の「リアルかオンラインか」の問題は、OR思考で検討する必要はないのではないでしょうか。私たちはついついUA(不確実性の回避)を避けようとする国民性を持っていて、OR(白黒をつけたい)で考えがちです。

しかし、今回のケースであれば、①②③を組み合わせて、「③テキスト」でできることは、できるだけ実施。

そしてその次は「②オンライン」、「①リアル」でないとできないことは「①リアル」と、3つをANDで組み合わせるとよいのです。

「リアル」「オンライン」のどちらかを選ぶのはナンセンス

①リアル、②オンライン、③テキストを組み合わせてコミュニケーションを設計する場合、できる限り「③テキスト」でできることはこれでやり、できないことは「②オンライン」で実施し、本当に「①リアル」でしかできない内容を、①でやると考えるのがポイントです。

つまり、どこまで会わずにできるのかを考えるのがコツです。

新型コロナの流行が収まった後には、リアルを中心に考える企業とオンラインを中心に考える企業に二分されたように感じています。

しかし、コロナのような状況はまた繰り返すタイミングがやってきます。その時のためにも、今から③テキスト→②オンライン→①リアルで設計する習慣をつける必要があります。

コロナのような感染症の再来についてもそうですが、①②③のハイブリッドは現代の多様な働き方に対しても非常に合理的で効率的な方法と言えます。

では、具体的に③テキスト→②オンライン→①リアルで設計を考える手順についてまとめておきましょう。