組織でのコミュニケーション方法はどのように使い分けるべきか。中尾マネジメント研究所の中尾隆一郎さんは「新型コロナでリアルかオンラインかと考える企業に二分化されたように感じるが、現代の多様な働き方に対しては、リアル・オンライン・テキストを組み合わせてハイブリッドで設計するべきだ。できる限りテキストでやり、それでもできないことはオンラインで実施し、本当にリアルでしかできない内容を考えていくことがポイントだ」という――。

※本稿は、中尾隆一郎『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

ビデオ会議をするビジネスパーソン
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時間と場所の同期・非同期…コミュニケーションの3つの型

コミュニケーションの方法は、①リアル(実際に会って実施する)、②オンライン(Zoomなど)、③テキスト(チャットツールなど)の3種類があります。私たちは、ついつい、①がよいのか、②がよいのか、③がよいのかという「OR」の発想になりがちです。

最適解は「OR」ではなく「AND」、つまり、これらを上手に組み合わせて設計することがポイントです。

その際には「非同期」でどこまで実施できるのか。

そこから設計すると、全体最適な方法が見つかります。

今でこそオンライン会議が一般的になりましたが、私は15年ほど前から、テレビ会議で仕事をし続けています。リクルート時代に全国に拠点があるスーモカウンターという店舗ビジネスの責任者だったからです。

一方、北は北海道、南は九州まで全国の拠点があったため、3カ月に1回は全メンバー300名以上を1か所に集めてキックオフミーティングをしていました。

本部組織からは、3カ月に1度とはいえ、多額な交通費と時間をかけて「リアルの対面でやる必要があるのか?」とコスト削減要求もありました。

その当時から、私は、コミュニケーションには、次のような3種類があると整理していました。

①時間と場所を同期させる「リアル」
参加者全員の「時間」と「場所」を一致させる必要がある。調整が難しい。
濃厚(?)なコミュニケーションができる(はず)。

②時間を同期させる「オンライン」

参加者全員の「時間」を一致させる必要がある。調整は①より容易。
そこそこ濃厚(?)なコミュニケーションができる(はず)。

③時間と場所の制約がない「テキスト」

参加者の「時間」も「場所」も一致させる必要がない。調整は不要。
軽いコミュニケーションはできる(はず)。

同じ時間を使うことができれば濃厚なコミュニケーションは、①>②>③の順番になります。しかし、調整の手間などは③>②>①の順番で楽になります。