強い組織は何が違うか。中尾マネジメント研究所の中尾隆一郎さんは「トップの資質に依存し長期的な安定感がないトップダウンと、判断に時間がかかり瞬発的なスピードがないボトムアップのいずれもダメである。変化の激しい現代では、最終的には現場が自分で考えて、自分で行動し、成果を出し、そこから学ぶ、自律自転する人・組織が1つの回答になる」という――。

※本稿は、中尾隆一郎『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

 階層ピラミッドのコンセプトイメージ
写真=iStock.com/Eoneren
※写真はイメージです

「トップダウン」と「ボトムアップ」どちらが正解か?

変化が大きな現在、「どのような組織を作りたいのか?」「作る必要があるのか?」ということを考えてみましょう。判断の仕方、情報の流れという観点で組織を考える際、一般的に対比されるのが「トップダウン型」の組織か、「ボトムアップ型」の組織かという議論です。

トップダウンとは、企業のトップであるリーダーが判断を行い、ボトムである現場に指示することで事業運営を行う方法です。

一方のボトムアップは、トップダウンとは逆に、現場にある程度の権限を与えて、現場の意見やアイデアをトップがみとったうえで事業運営を行う方法です。

それぞれメリット、デメリットがあります。

トップダウンの一番のメリットは、判断の時間が早い点です。

デメリットは、どうしてもボトムである現場は受け身になり、指示待ちのメンバーが増加します。加えて、上司に判断を仰がないと、自分でやることを決められないので、モチベーションが低下しがちです。

しかもトップの能力に依存するので、業績を上げ続けたトップが交代した際に、新しいトップの判断ミスなどが起きがちで、長期的に業績安定が見込めません。カリスマ経営者が、次の経営者に引導を渡せない話などが該当します。