新たな「ミドル=中間管理職」を育成する

しかし、「ミドル・アップダウン」にもデメリットといえる実現が難しいポイントがあります。それは、この「アップダウン」を行える「ミドル=中間管理職」が、組織の数だけ必要になる点です。

最近は、ミドルである中間管理職は、マネジメント業務に加えて、自分自身もプレイヤーであることが少なくありません。

つまりプレイヤー業務、通常のマネジメント業務に加えて、新たに「アップダウン業務」が求められるのです。これを「あなたたち中間管理職の仕事だからやるべきだ」と、押し付けるだけでは何も解決しません。必要なのは次の3つです。

①中間管理職の育成
②現場の見える化
③アップダウンする仕組み

私自身もリクルート時代に、この中間管理職の育成と現場の見える化、そしてアップダウンをする仕組み作りに積極的に取り組んでいました。

まず、育成については、中尾塾という中間管理職育成塾を組織内に作り、次の中間管理職候補を育成し続けました。

育成には、一般的には、セミナーや研修形式で知識やスキルを習得するOff-JT(職場外研修)と実際の仕事を通じて知識やスキルを習得させるOJT(On the Job Training)の2つを組み合わせることが必要です。

なぜ、2つを組み合わせる必要があるのか。

片方のOff-JTとして研修やセミナーを実施し、スキル習得を行ったので、「もう現場で実践できますね。頑張ってください!」だけではうまくいかないということです。

中間管理職のみなさんが、学んだスキルや知識をどのように現場で活用しているのか、それを「見える化」して、必要に応じてOJTで支援する必要があるのです。

それは、中間管理職が、知識やスキルを習得したからといって、それを実際に現場で実行できるかどうかは分からないからです。

「知っている」と「できる」の間にある大きな溝

知識やスキルを習得して、それをいつでもできるようになるには、次の5つのステップがあります。

具体的には、「知らない」→「知っている」→「理解する」→「実行する」→「できる」の5つのステップです。そして、それぞれのステップの間には大きな壁、溝が横たわっています。

例えば、Off-JTで知識やスキルを習得できたら「知らない」→「知っている」に変わります。しかし、「知っている」からといって、できるかどうかは分かりません。

中間管理職が、学んだことや方針を「できる」ようになるために、「理解する」以降を「見える化」して、必要に応じて中間管理職を支援することが、トップや本部機能に求められているのです。

中尾隆一郎『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』(フォレスト出版)
中尾隆一郎『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』(フォレスト出版)

そして、これらを実施してこそ、「現場の意見がトップに伝わり、それを参考にトップが判断し、それを現場に伝え実行する」というミドル・アップダウンのサイクルが回り出します。

もちろん、これにも仕組みが必要です。

これらの中間管理職の育成、現場の見える化、アップダウンする仕組み化を整備して、現場主導の自律自転する人・組織が実現します。

そして、変化の大きい現在では、この自律自転する人・組織を作ることで、安定的に業績を挙げ続けられるようになるのです。

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