トップに判断を仰がなくても現場で判断ができる組織か

ボトムアップの場合、現場の意見が事業運営に採用される、つまり、現場の従業員にとって自分たちの意見でやることを決められるので、モチベーションが高くなります。

ボトムアップのデメリットは、判断の合意形成などに時間がとられることが多い点です。変化が大きい時代に判断に時間がかかるのは致命的です。みなさんの組織は、どちらに近いでしょうか?

一般的に、「トップダウン」と「ボトムアップ」どちらがよいのかという議論になるのですが、トップダウンは、トップの資質に依存するので、長期的な安定感がなく、ボトムアップは、判断に時間がかかるので、瞬発的なスピードがありません。

変化の大きい現代では、変化を把握するためにも、顧客情報を持っている現場の意見を参考にする必要があります。加えて、変化が大きいので、瞬時に判断することが求められます。つまり、トップダウンだけでも、ボトムアップだけでもダメなのです。

最終的には、トップに判断を仰がなくても、(トップの判断の軸が分かっている状態で)現場で判断ができる組織が求められます。つまり、現場が自分で考えて、自分で行動し、成果を出し、そこから学ぶ、自律自転する人・組織が1つの回答なのです。

理想的な組織は「ミドル・アップダウン」

そこで登場するのが「ミドル・アップダウン」によるマネジメントです。

ミドル・アップダウンは、トップダウンとボトムアップそれぞれのメリットを活かしつつ、デメリットを弱めることが可能だと言われています。「トップ」はリーダー、「ボトム」は現場のメンバー、「ミドル」は中間管理職を指します。

ミドルである中間管理職が、トップの考えをすばやく現場メンバーに浸透させつつ、現場が把握している顧客情報や、意見、あるいは不満を汲み上げ、トップに伝える役割を担います。

かつて、中間管理職は不要だという議論があった時代もあったのですが、変化が激しいこの時代には、トップとボトムを上手につなぐことができる「ミドル=中間管理職」の役割が再度注目されています。

つまり、「トップダウン」でも「ボトムアップ」でもなく、それらのいいところ取りの「ミドル・アップダウン」が自律自転する組織を作るための1つの最適解なのです。