投資家や資本家が稼げるのはリスクを取っているから

息子よ。君が採るべき稼ぎ方の戦略についてまとめておこう。

社会を構成する個々のメンバーの経済力の格差はどこから生じるのか。

一つには、人的資本までを含めた自分の資産でどれだけリスクを取るのかだ。リスクを回避したがる者が提供する価値を、リスクを取ってもいいと思う者が吸い上げるのが経済循環の仕組みだ。

私有財産たる資本でリスク・テイクの対価を吸収し、これに株式投資を通じて参加することができるのが、現在の資本主義の仕組みだ。

投資家、資本家は、リスクを取っているのだから、少しも悪いことをしている訳ではない。全体は契約の合意の上に成り立っている。そこで、資本の収益力が働く。

現実にはもう一つ収益力の源泉がある。それは、リーダーシップだ。

リーダーシップが得る「権力リターン」

形は会社とは限らないが、会社的な人の集まりでは、そもそも集まる目的を考案し、集まり全体の戦略を考え、人の集まりをコントロールするリーダーが1人ないし少数必要だ。人の集まりでは、彼らがより大きな経済的対価を取ることが納得されやすい。

会社なら、社長が少々多い社長らしい報酬を受け取り、社長室や秘書を持つくらいのことは納得されるだろう。軍政のような社会の軍のトップなら彼(彼女)には大きな権力と共に富も配分されるだろう。リーダーシップが得る「権力リターン」だ。国によっては、書記長や主席などと名乗りつつ実質的には「王」のような人物が君臨し、その周囲に富が集中する。

こうした様子を図解することを試みたのが、図表1だ。「資本主義ポジショニング・マップ」と名付ける。

経済的な価値を集める力を矢印で示し、個々のメンバーの経済力の大きさを丸の大きさで示した。この世界の経済力のチャンピオンは、主に創業者で株式をたっぷり持っているオーナー社長であり、圧倒的だ。