お金の心配をせず、自由に気分よく生きていくためには、どうすればいいのか。2024年1月に65歳で亡くなった経済評論家・山崎元さんは、余命3カ月のときに、大学生の息子さんに向けてメッセージを残していた。最後の書き下ろし作品『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』(Gakken)より、一部を紹介する――。(第1回/全2回)
人生、お金と投資のコンセプト
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運用の3原則は「長期」「分散」「低コスト」

お金の運用は、「長期(投資)」、「分散(投資)」、「低コスト(=安い手数料)」の3つを守ることでうまくいく。

何かしようとする前に、「長期、分散、低コスト」、「長期、分散、低コスト」……と何遍か唱えて、自分の行動がこれに合致するかどうかをチェックするといい。

大事なのは、経済の状況や相場の情報を見て「売り・買い」をしないことだ。投資額を、株価が下がりそうな時に減らし、上がりそうな時に増やすような操作はうまくいかない。プロでも、その種の操作を長期的に成功させている有名な運用会社はない。そして、プロでも「いつがいい投資タイミングなのか?」は判断できない。

大きな利益を得るには「持ちっぱなし」がいい

投資とは、リスクを取って資本を提供して利益を得ようとする行為だが、大きな利益を得るためには、長い期間資本を提供し続けることが必要だ。途中で売却して税金や手数料を払うことなしに、複利運用を継続するためにも「持ちっぱなし」(金融用語で「バイ・アンド・ホールド」と呼ぶ)がいい。

「長期的にはリスクに見合うリターンが期待できるのだろう」と「いつがいい時なのかは分からない」とを論理的に組み合わせると、「自分に適切なリスクの大きさだけ投資して、じっとしている」ことが最善の答えになる。運用期間が長くても短くても結論は同じだ。論理を信じて、売り買いしたいと思う衝動を抑えよ。

各種の投資・運用のプロや金融界は、経済や相場を分析してコメントを出し続けているが、これは仕事の都合上そうしているだけだ。運用の役には立たない。父もコメントすることがあるが、信じてはいけない。