このところ中国株の下落が続いている。中国経済はこれからどうなるのか。エコノミストのエミン・ユルマズさんは「不動産バブル崩壊、米中対立、少子高齢化と構造問題が噴出し、中国経済の先行きは不安視されている。このため中国から日本に投資をシフトする動きが目立っている」という――。

※原則として数値は執筆時点(1月末)のものです。

「日本株買い」と「中国株売り」をセットに

海外の投資家はよく日本株と中国株をペアトレードしています。かつては中国株の代わりに日本株を売ったりもしていましたが、直近では「日本株買い」と「中国株売り」をセットにする傾向があります。

中国株はこのところ下落が続いています。

香港ハンセン株価指数は過去1年で約27%下落。年初来でも約5%下落と、今年も下落傾向に歯止めがかかっていません。

上海総合指数は過去1年で約15%下落。年初来で約6%下落と、こちらも大きく下がっています。

中国株とは対照的に、日本株は上昇しています。日経平均は過去1年で約32%も上昇と、好調を維持しています。

かつては香港市場や上海市場が下がると日本株も下がっていましたが、今は逆の相関になっているとみていいでしょう。

中国経済の実態は数字以上に悪い

なぜ中国株が下がっているかというと、もちろん中国経済が悪化しているからです。

つい先日発表された2023年の中国のGDP伸び率は、市場予想のプラス5.3%よりも若干弱く、プラス5.2%でした。

若干弱い程度ではありましたが、中国の経済統計は水増しされている可能性が高いので、5.2%が事実かどうかわかりません。実態はもっと悪いのではないでしょうか。

中国国旗と株式市場のグラフ
写真=iStock.com/ronniechua
中国経済の実態は数字以上に悪い(※写真はイメージです)