「ウイグル弾圧」を批判しても説得力がない
また、これによってアメリカの目が中東に向き、ウクライナへの支援が弱くなっていることで、ロシアにも追い風が吹いています。
イスラエルの報復作戦は、規模や方法に問題があるとはいえ、根本的には正しい対応だと思います。ハマスの奇襲攻撃がそもそもの原因なのは間違いありません。
しかし、アメリカがイスラエルを全面的に支援するとなると問題が発生します。
アメリカは中国政府のウイグル弾圧を非難しています。ウイグルはイスラム教徒が多い地域。つまりアメリカは間接的に「イスラム教徒への弾圧」に反対しているのです。
しかし、イスラエルによるパレスチナ攻撃は、イスラム教徒にとっては許し難い行為です。
アメリカは人口1000万人程度のイスラエルを支持し、人口19億とも言われるイスラム教徒を敵に回すことになりました。
今さらアメリカが「ウイグルにおけるイスラム教徒弾圧に反対」と言っても説得力がありません。
中国経済の悪化が世界経済に波及するリスク
中国経済の見通しは非常に厳しいですが、中国が巨大な経済圏であることに変わりはありません。その動向は世界経済にも大きな影響を与えます。
中国経済が苦戦しているのに、世界の景気が絶好調とはならないのです。
中国経済の不振は、アメリカ経済にとってもマイナス材料です。
アメリカは現在AIバブルに沸いていますが、その代表的な銘柄であるエヌビディアやクアルコムの顧客は中国企業です。
中国経済が冷え込むと、こうした企業の業績にマイナスの影響があるでしょう。
また、米中対立がさらに悪化すれば、中国企業との取引がより厳しく規制されることになります。
その意味で、やはりアメリカの株価は割高であり、今後調整局面を迎える可能性もあるとみておくほうがいいと思います。