「マネーの国外流出」に敏感になっている
そもそも中国に経済発展をもたらしたのは「改革開放路線」です。しかし、習近平政権は改革開放路線を巻き戻し、共産党支配の強化を目指しています。
それを考えると、中国経済が今後これまでのように成長するのは難しいと言わざるを得ません。
1月17日、中国の上海証券取引所で日経平均株価に連動するETF(上場投資信託)の売買が一時中止されたと報じられました。
「価格変動で投資家が大きな損失を被る」というのが表向きの理由です。
今中国では、中国株への投資より、日本株への投資が過熱しています。
上記の日本株ETFの売買中止は、日本株人気によって中国国内のマネーが国外流出するのを避けたい中国当局が、日本株投資を制限しようとした結果とも考えられます。
規制されているのは日本株だけではありません。中国の大手資産運用会社ChinaAMCは、ナスダックとS&P500のETF(上場投資信託)買いを1月24日(水)に停止すると発表しました。
こちらも表向きの理由は、「ファンドの株主を保護し、オペレーションをスムーズにすること」ですが、実際のところは、中国政府から「米株を買うな」と言われた可能性が高いでしょう。
ハマスのイスラエル攻撃は中国に追い風
一方、昨年秋以降の中東情勢は中国にとって追い風かもしれません。
昨年10月、ハマスによるイスラエルへの攻撃が発生。これを受けて、イスラエルは大規模な報復攻撃を実施しました。
これはアメリカにとってもサプライズでした。アメリカとしては対中国に集中したいのですが、これで中東にも力を割くことになってしまいました。