中国経済が悪化すると台湾有事の可能性が高まる

台湾問題も見逃せません。1月に行われた台湾総統選では与党・民進党の頼清徳氏が当選しました。いわゆる「対中強硬派」が勝利したため、台湾に親中政権を樹立するという中国の野心は打ち砕かれた格好です。

習近平氏は台湾統一を自分の使命だと考えています。昨年の訪米でも習氏は台湾統一に言及しており、政権3期目に「レガシー」を作ろうと、武力行使に踏み切る可能性はあるでしょう。

もちろん、中国も本音としては台湾への軍事侵攻を避けたいと思っています。勝つか負けるか分からない勝負をするよりも、じわじわと圧力をかけ続け、長期戦で台湾統一をめざすのが中国が得意とするやり方です。

しかも習近平氏はウクライナ戦争から学んでおり、戦争になれば経済に大きなダメージがあること、そして下手をすると第3次世界大戦になることも理解しています。

ただ、中国経済が大きく悪化すると、国内に共産党政権への不満が高まってきます。不満を外に向けようと、武力行使に踏み切る可能性も出てくると思います。

兵士
写真=iStock.com/FrankvandenBergh
中国経済が悪化すると台湾有事の可能性が高まる(※写真はイメージです)

まさに「バブル崩壊後の日本」

中国の今の状況はバブル崩壊後の日本と似ています。

人口が減少に転じていわゆる「人口ボーナス」がなくなり、経済の活力が失われていきます。

その上、不動産バブルが崩壊した「ツケ」を、長期にわたって払い続けなければならない。

なのに現状では設備投資もインフラ投資もまだまだ過剰で、投資されたお金の多くが不良債権と化し、その処理にも資金と時間が必要になります。

中国株が下落を続けているのはそのためです。中国政府に対して大規模な景気対策を期待する声も大きくなっています。

しかし、今のところ中国政府は小手先の対策を小出しにするばかりで、大規模な財政出動や大胆な金融緩和には踏み切っていません。地方政府の債務問題もあって、大規模な財政出動を行う余裕がないのかもしれません。