薬は自分の苦しみを取るために飲む
とはいえ、私が医療のお世話になっていないかというと、実はそうではありません。血圧の薬は多少飲んでいますし、心不全の治療のための利尿剤も飲んでいます。慢性下痢なので毎日数種類の胃腸薬も飲んでいます。
実は1年くらい前まで毎朝頭痛がするので、鎮痛剤を飲み続けていました。近藤誠先生(編集部注:『患者よ、がんと闘うな』などのベストセラー多数の医師。2022年8月死去)と雑誌で対談した際に、いかに鎮痛剤が体に悪いかを聞いてやめてみたら、思ったほど頭痛が悪くならなかったので、今はやめることができました。
私の場合、原則的に検査データを正常にするより自分の苦しみを取るために薬を飲んでいます。それが本来の使い方だと信じているからです。
ただ、それ以上に心がけているのが「足し算医療」です。年をとるほど、体の中で足りないものが出てきます。ならば、薬を使って高い値を下げていく引き算医療より、体に足りなくなったものを足したほうが元気になれるはずです。
栄養は「余る」より「足りない」害のほうが大きい
私のアンチエイジングの師匠であるクロード・ショーシャ先生は、ジャッキー・チェンをはじめ、世界のセレブリティの老化予防の主治医を務める、その道の第一人者ですが、私は彼の処方するサプリメントをずっと飲み続けています。
ショーシャ先生のクリニックでは、尿の検査をして、さまざまな代謝産物や有毒な物質を分析して足りないものを見つけ出し、一人一人違うサプリメントを処方してくれます。私は足し算医療として10種類以上のサプリメントを飲んでいますが、そのせいか調子はいいです。
自分のクリニックで行っている男性ホルモンの補充療法も、足し算医療としてずっと続けています。これはサプリメントと比べてはるかに即効性があります。頭も冴えるし、意欲も保たれる。さらに筋肉もつきました。歩くのが速いのはそのためではないでしょうか。
もちろん、栄養も十分摂るようにしています。前述の血糖値やコレステロール値を見るとほかの医者なら許さないような摂取量ですが、栄養についても余る害より、足りない害のほうが大きいと信じています。
実は、私はこの「足し算医療」もここ2、3年提唱しているのですが、これについても自分が実験台のつもりでいます。そして体にいいとされているものは、あれこれと試し、調子がよくなったものだけを残しています。
検査データはかなり悪いところが多いですが、主観的には元気でいることができています。