年末調整を済ませたサラリーマンでも、確定申告をすれば払い過ぎた税金を取り戻すことができる。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「医療費控除は確定申告でしか申請できず、年間760万人超が利用している。中でもセルフメディケーション税制については、控除条件を知らない人が多い」という――。
医療費
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あなたの年末調整は本当に完璧か?

サラリーマンの場合、年末調整ができない給与収入2000万円超の人や副業をしている人以外は、通常、確定申告をする必要がありません。年末調整で受けることのできる控除は、基礎控除、扶養控除、配偶者控除など14種類(図表1)もありますので、使える控除をもれなく適用して年末調整を行えば、税金の払い過ぎは大体防ぐことができます。

【図表1】年末調整で適用となる控除

とはいえ、うっかり勤務先に申請するのを忘れたり、控除を受けられることに気づいていないこともあります。たとえば、家族が介護保険の要介護状態に認定されていると、⑨の障害者控除が受けられる可能性がありますし、子どもの国民年金保険料等を支払った場合も⑤の社会保険料控除の対象となりますが、知らずに手続きをしていないケースが多いのです。

すでに年末調整は終わっていると思いますが、漏れがないか再度チェックしてみてください。もし、申請漏れに気づいたら、会社に掛け合って、年末調整のやり直しを依頼しましょう。ただし、年末調整の修正ができるのは、原則として「給与所得の源泉徴収票」を従業員に交付する前、かつ「翌年1月末日まで」です。

760万人超が利用している医療費控除

この期限に間に合わない場合は、確定申告をすることで払い過ぎた税金を取り戻すことができます。控除に関する証明書類と会社から発行される「源泉徴収票」があれば申請が可能です。

【参考記事】
「忘れると8万5000円の損」年末調整で多くの人が知らずに損をしている“ある控除”
夫婦ともに給与収入850万円超の場合は10万円がお得に…年末調整で忘れてはいけない「3枚目の書き方」

確定申告をする必要がないサラリーマンでも、年末調整で控除しそこなった場合、申告をすることで払い過ぎた税金が戻ってきますが、そもそも年末調整では受けられない控除があります。「寄附金控除」「医療費控除」「雑損控除」の3つの控除です。今回は、年間760万人超(※1)が利用する医療費控除に注目をしたいと思います。

※1 日本OTC医薬品協会ニュースリリース「新しくなったセルフメディケーション税制の活用が拡大!」(2023年7月18日)より算出した、2022年の医療費控除とセルフメディケーション税制の申告者数の合計