「補てん金額」と「給付目的の医療費」の確認を

家族の医療費を負担した場合や、医療費通知には載っていない通院のための交通費や市販薬の購入代金、介護関連の費用などがあれば、領収証を見ながら「2.医療費(上記1以外)の明細」の欄に記載します。

最終的にすべての医療費合計額から補てんされた金額の合計額を差し引く構造になっていますので(図表3)、先述の例のように、「生命保険や社会保険などで補てんされる金額」の欄に40万円と記載してしまうと、給付の目的以外の医療費からも差し引くことになってしまいます。

ここでは紙ベースの「医療費控除の明細書」で説明しましたが、スマホやパソコンで確定申告をする場合も要注意です。マイナポータルの情報を取得するなど、とても便利にサクサクと申告手続きが進みます。そこでうっかり「給付目的の医療費限度ルール」を忘れてしまわないよう、あらかじめ「補てん金額」と「給付目的の医療費」とを突合しておくなど、準備を整えておくとよいでしょう。特に、帝王切開で出産をした人は、突合が少し複雑になりますので、気を付けてください。

【参考記事】
知らないと丸損する…去年子供を産んだ人が「確定申告」で絶対に間違えてはいけない計算

セルフメディケーション税制は2026年まで延長

続いて「セルフメディケーション税制」について見ていきます。「セルフメディケーション税制」とは「租税特別措置法に基づく医療費控除の特例」で、当初、2017年1月から5年間の特例として始まりましたが、2022年1月より5年間延長されることになりました(2026年12月31日まで)。

医療費控除との選択となりますので、併用はできません。利用できるのは「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っている人です。

一定の取組とは、次の取組をいいます。

①保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診など】
②市区町村が健康増進事業として行う健康診査
③予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
④勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
⑤特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
⑥市区町村が健康増進事業として実施するがん検診