薬のレシートは5年間、捨てずにとっておく

制度の趣旨としては、普段から健康の保持増進や疾病の予防を行い、軽度の体調不良のときには市販薬を購入して自分で手当てをしましょうということです。以前は、健診などの結果通知表のコピーや予防接種の領収書などを提出する必要がありましたが、手元に5年間保管しておくことでよくなりました。勤務先での定期健診でもよいので、大半のサラリーマンは条件に該当すると思います。

控除対象となるスイッチOTC医薬品とは、もともと医療用として使用されていた医薬品を、有効成分や服用方法、用量をまったく変えずに市販されている医薬品のことです。CMやドラッグストアでよく見かける解熱剤や胃腸薬、目薬なども対象になっています。

具体的な対象医薬品の一覧は、厚生労働省ホームページで確認できますし、購入した際の領収書(レシート)に控除対象であることが記載されています(★印など)。また、一部の対象医薬品については、その医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが表示されています。

【画像1】セルフメディケーション税制の識別マーク
セルフメディケーション税制の識別マーク(出所=一般社団法人 日本OTC医薬品情報研究会

申告時にレシートを提出する必要はありませんが、5年間の保管義務がありますので、捨てずにとっておきましょう。

特例を選ぶほうがオトクなケースもある

気を付けたいのが、「セルフメディケーション税制」の対象となるスイッチOTC医薬品は、原則として医療費控除の対象にもなることです。「セルフメディケーション税制」の控除額の上限は8万8000円、医療費控除が200万円です。スイッチOTC医薬品以外の医療費負担がない場合、購入額が18万8000円を超えると医療費控除のほうがお得です。

また、スイッチOTC医薬品と、それ以外の医療費を合わせて15万円かかった年があるとします。医療費控除を使うと10万円を超えた5万円が総所得から控除できます。しかし、15万円のうちスイッチOTC医薬品が8万円、それ以外の医療費が7万円のケースでは、「セルフメディケーション税制」を使ったほうが、6万8000円(8万円-1万2000円=6万8000円)の控除となりますので、医療費控除より有利です(総所得200万円以上の場合)。

医療費控除は、通院時の公共交通機関の交通費や入院時の食事代なども対象となります。どちらが有利かはケースバイケースですから、必ず試算をして判断してください。

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