「医療費控除」とは医療費の負担分に応じて所得税が安くなる仕組みだ。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「保険金などが支払われた場合はその分を医療費から差し引くが、計算式を誤解している人が多い。特に出産やがんの経験者は要注意だ」という——。
家族の医療費を合わせて「10万円」を超えればいい
そろそろ確定申告の季節です。サラリーマンであれば年末調整で完結することがほとんどですが、年末調整では控除できないものがあります。医療費控除もその一つ。「昨年はずいぶん医療費がかかったなあ」という人は、確定申告をすることで税金が戻ってくるかもしれません。
医療費控除とは、納税者本人や同一生計の家族が、1年間に10万円を超える医療費を支払った場合、超過分を所得から差し引くことができるというものです。1人だけだと10万円を超えなくても、家族の分も合わせると対象になるかもしれません。医療費控除額は以下のように計算します。
医療費控除額(※1)=(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補塡される金額)-10万円(※2)
※1:最高200万円
※2:所得200万円未満の人は所得の5%を超えた場合
実は、この計算式にしたがって、1年間に支払った医療費合計額から、受け取った保険金などの合計額を差し引くと、思わぬ損をしてしまう可能性があります。明細書の書き方を、順を追ってみていきます。