ペダルを漕がずに猛スピードで走行できるフル電動自転車=「電ジャラス自転車」には、どんな問題があるのか。ほぼすべての都内移動に自転車を使う自転車評論家の疋田智さんは「本来はナンバープレートの取得が必要だが、無登録での違法走行が後を絶たない。もし人身事故が起きれば、加害者も被害者も悲惨な目に遭う」という――。

参院議員会館で見た「狂暴電ジャラス」

東京都千代田区永田町にある衆参の議員会館には、改築後ちゃんと駐輪場が設えられるようになり、自転車人である私としては「これはいいことだなぁ」と思ってきた。ところが、先日ここを訪れた際、せっかくの駐輪場に奇妙な自転車が駐まっていたのだ(写真)。

【画像1】ナンバープレートが付いていない「ペダル付き電動原付バイク(モペッド)」
筆者撮影
ナンバープレートが付いていない「ペダル付き電動原付バイク(モペッド)」

奇妙な自転車というのは、私が「電ジャラス自転車」と呼んでいるものなのだが、その中で最も速くてパワーがあって狂暴なのが、「カテゴリー①違法フル電動」というやつだ。

3種類の「電ジャラス自転車」については、前回記事〈ペダルを回さず猛スピードで走り去る…危険すぎる「電ジャラス自転車」を、なぜ警察は野放しにするのか〉で解説した。

ナンバープレート付きなら原付扱いになるが…

簡単に説明すると以下の通りだ。

カテゴリー① 違法電ジャラス自転車
「フル電動」あるいは「モペッド」

カテゴリー② 脱法電ジャラス自転車
アシスト率オーバー・電アシもどき

カテゴリー③ 合法電ジャラス自転車
なぜか合法の「特定小型原動機付自転車」

写真のモデルの場合、パワーは500Wか750W。通常の電動アシスト自転車の2〜4倍という異常さだ。ナンバープレートを付ければ、即原付バイクとして登録可能で、要するにこれは自転車じゃない。単に「ペダル付き電動原付バイク(モペッド)」なのだ。

原付バイクだから、もちろん免許は要る。500Wの場合、原付一種(普通免許可)、750Wの場合は原付二種(普通免許不可)が必要で、もちろん自賠責保険に入る必要がある。