姿勢を支えるのは筋肉でなくて骨

ではこの「押しつぶし」をしないためには、どうすればよいと思いますか?

筋肉に力を入れて、頑張って胸を反らしますか?

「押しつぶし」に抵抗して、力づくで押しのけるなんて……それこそ「よけいな努力」をさせることになって、体にとっては本当に迷惑な話です!

そんなときに、頼りになるものがあります。

それは骨です。骨は、上から重さが乗っても、押しつぶされません。

図表2のように、足の上に上半身を、上半身の上に頭を……というように、順番に乗っけていく要領でバランスをとってしまえば、重さは地面まで骨を伝って下りていくのです。

骨に頼ることができると、押しつぶされたり、崩れ落ちたりする心配がなくなるため、筋肉をこわばらせる必要もなくなります。

解放された筋肉はやわらかくなり、必要なときにだけキビキビといい仕事をしてくれるようになります。

姿勢を支えるのは、筋肉ではなくて、骨。ぜひ体で感じて覚えてください。

首の後ろの筋肉がこわばるとすべての動きにブレーキがかかる

イキイキと動くために最も重要なことは、「首の後ろの筋肉」がこわばっていないこと。図表3で示したところがこわばっていなければ、頭と背骨はお互いに自由に動けます。

反対に、首がかたいと、背骨に対し頭を固定してしまうことになります。するとすべての動きにブレーキがかかって、大変な努力が必要になってしまいます。

人間も含めた、すべての脊椎動物の最大の弱点は首です。首には、脳と体を結ぶ脊髄や動脈が通っています。そのため、首をギュッとつかまれたり、噛みつかれたりすると、全身がうまく動かせなくなります。

問題なのは、首の後ろの筋肉がかたまって、頭が固定されている状態が当たり前になってしまうことです。動きが封じられるばかりか、「脳血流の低下」「脳内ホルモンのアンバランス」「自律神経の乱れ」「血圧の上昇」「心臓血管への負担」をドミノ倒しのように引き起こしてしまいます。

いずれも「生活習慣病」になるリスクを高めるものです。早くその重要性に気づいて、首を自由にしてあげましょう。