「2国家共存」は永遠に機能しない可能性が高い

さて、今後のパレスチナ問題である。すべての事象には複数の側面があり、どこから見るかでその様相がまったく変わってくるが、パレスチナ問題はその最たるものだ。

パレスチナ側の主張と、イスラエル側の主張は、どちらかが間違っているわけでも、明らかに嘘をついているわけでもないが、接点となりうるものが何一つとしてなかった。これまで唯一の解決法とされてきた「2国家共存」は、結局、30年たっても機能せず、この調子では、おそらく永遠に機能しない可能性が高い。

実はイスラエルは、10月7日の朝、ハマスのテロリストたちが急襲時に衣服に付けていたボディカメラの映像を、複数入手している。しかし、そこに映っていた蛮行のあまりの酷さに、イスラエル政府はそれを一般公開できず、ジャーナリストにのみ公開した。それを見たドイツ系のイスラエル人記者の話では、海千山千の同僚たちが、皆、ショックで言葉を失ったという。

ただ、映像がなければニュースバリューはゼロなので、それについてはあまり報道もされない。その代わりに世界に出回っているのは、ガザ地区におけるイスラエルの“戦争犯罪”ばかりだ。情報戦ではハマスが完全に勝っている。そして、多くのメディアはそのハマスの映像を流しながら、「第3次世界大戦」にまで言及し、「停戦の必要」を説きつつ視聴者の恐怖をあおっている。

日本のメディアは平和ボケしているのか

ところで、私の読んだ日本の論評の中で、群を抜いてお粗末だったのは朝日新聞の社説。10月20日付デジタル版のそれは、ガザの病院へのロケット弾の着弾を取り上げていたが、どう見てもガザ側の発表の丸写し。ただ、攻撃者がイスラエルでなかった可能性は認識していたらしく、「実行者がだれであれ」との釈明付きだ。

「実行者がだれであれ、病院への攻撃は国際人道法に違反する重大な戦争犯罪で、決して許されない。ただちに停戦し、第三者による独立調査が尽くされねばならない」とか、「ハマスが民間人を含む200人以上の人質をとっていることも看過できない」とか……、「え? それで?」と言いたくなる。

人質は「ただちに解放しなければならない」って、すべてその通りだけれど、それが簡単にいかないから、皆、苦労しているのだ。国際面ではないとはいえ、内容の薄っぺらさには力が抜けた。

タイトルは、「ガザ病院爆発 停戦し真相究明尽くせ」と、いやに偉そうだが、内容はまさに中学生の作文と言ったら、おそらく中学生も怒るだろう。これは平和ボケのせいなのか?

今日は、結論があさってのほうに行ってしまった。

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