関節にたまった結晶がはがれると痛風に
尿酸というと、「痛風」を思い浮かべる人は多いですよね。痛風の発作が起こると「風が吹いても痛い」ほどの激痛で歩くこともできない、という話をよく聞きます。もちろん会社に行くどころではなく、救急車を呼ぶ人も少なくありません。
血液中に尿酸が多くなると、溶けきれなくなり結晶化します。特に、血液循環が悪く体温の低い手足の関節などにたまりやすく、この固まりを尿酸塩結晶といいます。この結晶が関節内ではがれ、それを白血球が処理する際に炎症が起きて腫れ上がるのが痛風の発作です。
痛風の発作が起きるということは、関節に尿酸塩結晶がたまるほど尿酸値が高いということ。尿酸塩結晶はイガグリのような形をしています。そこで私は、痛風の発作が起きるかどうかに関係なく、尿酸値が上がっているということは、「血管の壁をイガグリのトゲでガリガリひっかいているイメージ」と説明しています。
高尿酸血症で怖いのは痛風だけではない
尿酸値が高いと必ず痛風の発作が起こるとは限りませんが、7.0mg/dLを超えた高尿酸血症の人は関節に尿酸塩結晶が沈着している可能性が高く、いつはがれて発作が起こってもおかしくない状態です。
いったんできた尿酸塩結晶は、尿酸値が6.0mg/dL以下にならないと溶けません。そのため、最初の発作はかなり尿酸値が高くないと起きないものの、1回起きた人は6.0mg/dL台まで下がっても起こるといわれています。
さらに、痛風や高尿酸血症が長期間持続すると、腎臓に尿酸塩結晶が沈着して腎臓の働きが悪くなり、「痛風腎」と呼ばれる状態になることがあります。ひどくなると透析が必要になることもあります。
ただし、痛風は高尿酸血症の局所的な1つの病態に過ぎません。痛風発作よりももっと怖いことがあります。それは高尿酸血症になると血管の内皮細胞が炎症を起こし、血管障害が進むことです。
その結果、全身の血管に炎症が起きて動脈硬化が進んでしまいます。