※本稿は、佐野創太『ゼロストレス転職 99%がやらない「内定の近道」』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
経産省は「隠れた優良企業」を公表している
「モンスター企業に入りたくない」と話す相談者さんが、次のような本音を教えてくれました。
穏やかに働きたい。顧客を騙したくない。社員同士で足を引っ張り合いたくない。
悲しい現実ですが、会社の業績が良くないと、職場がギスギスする、嘘をついてでも利益をあげる、同僚を出し抜いてでも顧客を奪う――こんなことが起こりやすくなります。「もう、疲れた」「これ以上、自分を嫌いになりたくない」と切実な声をあげる転職相談者は多いのです。
当たり前のことを当たり前に大切にできる企業に転職したい。でも、どうすれば見つかるのか。
モンスター企業の避け方では厚労省を頼りましたが、今度は経産省の力を借りましょう。「隠れた優良企業」が見つかります。
経産省は平成26年、令和2年に「グローバルニッチトップ企業100選(GNT企業100選)」を公表しています。
「ニッチ」とは、参入している企業が少ない隙間産業という意味です。なかでも、グローバルニッチトップ企業は、このニッチ分野で「高い世界シェアを有し、優れた経営を行っている中堅・中小企業」を指します。
グローバルニッチトップ企業には余裕がある
この企業100選には、「厳しい環境においてニッチ分野で勝ち抜いている企業」や「国際情勢の変化の中でサプライチェーン上の重要性を増している部素材等の事業を有する優良な企業」が載っています。株式投資の参考資料にしている人もいます。
グローバルニッチトップ企業には、たいてい次のような好循環があります。
自社にしか提供できない商品やサービスを持っている→他社は真似できないので商品やサービスの値段を上げられる→自分たちにしか生み出せない価値があるとわかっている社員は、自信を持って働く→その姿を見た会社は社員を信頼する→頑張る社員に報いるべく、経営陣は社員に還元する→努力を続ける社員の姿に、顧客の支持が集まる→さらに商品やサービスに磨きがかかり、唯一無二の地位が固まる。
つまり、余裕があるため、モンスター企業になりようがないのです。