大人なら6時間半も眠れば十分

ところが睡眠不足では、その機能が不十分になります。脳の健康を維持するためにも、睡眠は欠かせないわけです。

もっとも、最近の研究によれば、大人ならだいたい6時間半も眠れば十分だそうです。どれほど忙しい人でも、これくらいなら確保できるでしょう。

むしろ、問題は、「寝なければ」と自分を追い込むことです。眠くないのに布団に入り、眠ろうと思うほどに緊張して目が冴えてくる、という経験は誰にでもあると思います。これでは、かえってストレスを溜めるだけです。

夜に不眠症に苦しんだアジアの女性のオーバーヘッドビュー
写真=iStock.com/RyanKing999
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眠れないなら眠れないままでけっこう。仕方ないと開き直ることが重要です。

横になるだけでもかなり休息になるからです。それに、ずっと目が覚めているように感じていても、実は眠ったり起きたりを繰り返していて、トータルではけっこう眠っていることがあるのです。

ただし、よく眠るためには多少の努力も必要でしょう。その方法はいくつかあります。まずは昼間の覚醒度を上げること。また生活リズムを整えること。

不規則な生活では睡眠も安定しません。それから日中に軽い運動をすること。運動は前述のとおり脳を活性化するので、一石二鳥です。

「深く眠れれば、睡眠時間は短くてもいい」の真実

睡眠と言えば、昼食後の睡魔はなかなか辛いものです。

「我慢して起きているくらいなら、いっそ寝てしまったほうがいい」という意見もよく聞きます。たしかに夜まで仕事が続くなら、そのほうが合理的でしょう。

少しでも寝れば、集中力がまるで違ってきます。このあたりのことは、学生時代の授業中に経験された方も多いと思います。

ただし、そこで寝すぎると夜の睡眠の質が下がります。昼寝はごく軽く、せいぜい十五分くらいに留めたほうがいいです。

それには、横になるより椅子に座ったままうとうとするとか、部屋をあまり暗くしないといった工夫をしたほうがいいと思います。また、夕方4時以降の“昼寝”は避けるべきでしょう。

また一部には、「深く眠れれば、睡眠時間は短くてもいい」という意見もあるようです。しかし立証されているわけではないし、自分で深さをコントロールできるわけでもありません。やはり一般には、時間を目安にしたほうがいいでしょう。