お酒に強い人は糖尿病になりやすい!

さて、肥満に関わる誤解をもうひとつ解いておきましょう。糖尿病についてのお話です。

糖尿病と聞くと、お腹が出た肥満の人、不摂生な人がなる病気というイメージがありますが、これは誤解です。例えば、日本人を含む東アジア人は肥満でなくても糖尿病になりやすいことが知られています。さらに最近、お酒に強い人が持つアルコールをどんどん分解できるALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)遺伝子が、男性の2型糖尿病の疾患感受性遺伝子であることがわかりました。これはつまり、アルコールに強い男性は、本質的に糖尿病になりやすいことを意味しています。

糖尿病は大きく1型と2型に分けられます。1型糖尿病は、膵臓すいぞうから出る血糖(血液の中のブドウ糖)の値を一定に保つ働きをするホルモン、インスリンが出なくなってしまいます。その結果、高血糖状態が続き、血管がぼろぼろになり色々な臓器が傷んできます。なので1型糖尿病の患者さんは、血糖値を一定に保つインスリン注射が必須になります。

インスリンの注射を打っている人
写真=iStock.com/Caíque de Abreu
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一方で、2型糖尿病は、インスリンは分泌されているものの、働きが悪くて血糖値が下がらない場合(インスリン抵抗性)や、分泌そのものが減っている場合(インスリン分泌障害)があります。遺伝的な要因に運動不足や食べすぎなどの生活習慣が加わって発症すると考えられています。はっきりとした原因はまだわかっていませんが、糖尿病患者の95%以上が2型といわれていて、中高年に多く発症します。

インスリン抵抗性の原因のひとつとして肥満があります。

しかし、日本人のインスリンを分泌する能力は欧米人に比べて低く、そのためたとえ太っていなかったとしても糖尿病になってしまうことがあります。実際に日本を含む東アジアの国々では、2型糖尿病患者であっても肥満の程度はそれほどではありません。平均体格指数(body mass index; BMI)は25kg/m2未満であることが多く、東アジア人の遺伝的素因が関係していると考えられてきました。

近年、東アジア人4万3540人のゲノムワイド関連研究が行われ、アルコールへの耐性(強さ)を規定する遺伝子型として知られているALDH2遺伝子多型が、男性の2型糖尿病の疾患感受性遺伝子であることが新たにわかりました。

つまり、先ほど述べたようにお酒に強い人ほど糖尿病になりやすいということです。さらに、正常体重の日本人男性約100名を対象にした調査によると、ALDH2遺伝子多型を持った人は、飲酒量が多くなることで肝臓のインスリンの効きが悪くなり、空腹時血糖値が高くなる可能性が示されました。

この空腹時血糖値が高いと動脈硬化を引き起こす可能性があり、2型糖尿病になりやすくなります。

「適量の飲酒は糖尿病の発症を抑制する」との報告もありますが、「適量」というのは難しく、お酒をたくさん飲むことでアルコール性膵炎を繰り返すと、インスリンを分泌する膵臓の細胞が破壊され、糖尿病を発症します。