「チフス菌」ではなく「トリヒナ症」

記事では「チフス菌によるもの」となっているが、おそらくトリヒナ症だろう。

筆者は戦前約70年分の北海道の地元紙を通読したが、この事件についてはほかに以下の記事が見つかった。

「巨熊を射止む」

旭川近文町十四丁目旧土人阿部ヌサッカ(五九)は数日前、東川村大雪山麓ピウケナイ沢で体重百五十貫の巨熊を射止めた(「北海タイムス」昭和8年10月17日)

ちなみに、別の地方紙によれば、「熊は身長一丈二尺、体重百五十貫、年齢十歳以上の牡で近年珍しい巨熊」(「小樽新聞」昭和8年10月17日)という。かなり巨大な熊である。

(捕獲場所とハンターの名前が異なるが、記録者の記憶違いの可能性もあるため、同一事件と判断した)

自宅で調理する場合は要注意

冬が近い時期でもあり、おそらく相当な量の肉がとれたのだろうが、そのせいで5人もの犠牲者が出てしまったのは皮肉だ。

ジビエブームといわれて久しいが、ほとんどの愛好家は生食の危険性を知っているだろう。

しかし本人に自覚があっても、加熱が甘かったり、調理具の消毒の不備などで感染することはある。

実際、本稿で紹介した集団食中毒事件の多くは、そうした処理に精通したプロが起こしている。

今回ネット通販でOSO18の肉を買い、自宅で調理する人たちは、少なくともトリヒナという寄生虫の存在と、最悪の場合は死に至ること、そして予防方法について十分理解した上で食してもらいたい。

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