熊の肉は「食べた食物によって味が変わる」
このように、OSO18の肉の大半は、すでにジビエ愛好家の胃袋に消えてしまっていると思われる。
熊の肉はどんな味がするのだろうか。
犬飼哲夫・門崎允昭による『ヒグマ(新版)』(北海道新聞社刊)には、「ヒグマのように個体によって肉の味が違う動物は珍しい。(中略)肉の味はヒグマが食べた食物によってひどく変わることを知った」という記述がある。
OSO18は66頭ものウシを襲っている。散々牛肉を喰らったOSO18だが、その肉は、一体どんな味がしただろうか。ただ、実際に食べた人以外にはもはや知るすべもない。
OSO18の肉を食べて問題はないのか
だが、本当にOSO18の肉を食べてしまって問題はなかったのだろうか。
そもそも研究用にサンプルを残しておくべきだった、という意見もあるだろう。
OSO18を駆除したハンターは、駆除したヒグマが世間を騒がせている「忍者ヒグマ」の「OSO18」とは知らなかったという。そのため、サンプルを確保するという考えには至らず、加工業者に持ち込んでしまった模様だ。
貴重なサンプルが失われたことは残念ではあるが、事情が事情だけに、これ以上の対応は難しかっただろう。
それ以外にも、OSO18の肉を食べる上で気を付けたい点が寄生虫の問題だ。
ヒグマの肉には「トリヒナ(別名、旋毛虫)」という危険な寄生虫が巣くっている。
「トリヒナは身体が糸状の線虫で、これにかかると、ときに死に至ることもある。感染は筋肉に寄生している幼虫、これを筋肉トリヒナというが、これを食べることによって生ずる」(犬飼哲夫・門崎允昭著『ヒグマ(新版)』北海道新聞社刊)