66頭の乳牛を襲ったヒグマ「OSO18」がついに駆除された。ネット上ではその肉が食用に販売されているが、食べても大丈夫なのだろうか。ノンフィクション作家の中山茂大さんは「熊の肉にはトリヒナという寄生虫が存在し、感染すると死に至るケースもある。熊肉の調理には注意が必要だ」という――。

忍者ヒグマ「OSO18」がついに駆除された

「忍者ヒグマ」ともいわれた「OSO18」がついに駆除された。

2019年より、北海道の標茶しべちゃ厚岸あっけし両町において、実に66頭ものウシがこのヒグマに襲われ、そのうち32頭が犠牲になったという。

66頭ものウシを襲いながら、人間に目撃されたのはたった1度だけ。写真など画像に収められたのも、夜間に自動撮影された3回と、昼間に1回のみという神出鬼没ぶりで、まさに忍者のように用心深い熊だった。

OSO18と命名された理由は、被害が多発した「標茶町下オソツベツ」の地名と、足跡の幅が18センチもあったことによる。ちなみに、「OSO」とはスペイン語で熊の意味であるが、これは偶然の一致である。

推定年齢は10歳以上、体長2.1メートル、捕獲時の体重は330キロだったという。

OSO18の肉が都内のジビエ料理店で炭火焼きに

熊は越冬のため、夏から秋にかけて貪欲にエサを喰らい、太る。

OSO18が駆除されたのは7月末。その時点で330キロもあったとなると、冬眠前の12月ごろには500キロ近くに達していた可能性がある。それほど巨大なオスのヒグマだった。

OSO18は7月30日に釧路町役場の職員によって駆除され、加工会社に持ち込まれた。OSO18の死体は解体され、肉は業者によって販売された。インターネット通販ではたちまち売り切れ、一部は都内のジビエ料理店などで炭火焼きにして提供されたという。

OSO18販売サイト
インターネット通販ではたちまち売り切れた(出所=「釧路丹頂商店」)