台湾をめぐるアメリカ国内の政策論争
⑥アメリカの「曖昧戦略」
日米両政府は1972年以降、「台湾は領土の不可分の一部」とする中国の立場を「十分理解し尊重」または「アクノレッジ(認知)」するだけという「曖昧戦略」で中国による台湾軍事侵攻を抑止してきました。
しかし、こうした「曖昧戦略」で中国を抑止できた時代は終わりつつあります。アメリカ国内には、中国の軍事的優位は明らかな以上、「台湾関係法」と「曖昧戦略」だけでは中国を抑止できないとする声と、「明確戦略」をとれば中国は台湾への軍事的、非軍事的圧力を強めるだけで逆効果という声があります。台湾をめぐるアメリカ国内の政策論争は当分続くでしょう。
⑦日台関係はどうなる
日本はアメリカのような「台湾関係法」を制定していません。従って、日台関係は1972年の日中共同声明の「趣旨」に基づき、経済や領事関係など非政治的な関係に留まるでしょうが、そのことは地域の安全や安定に関する意見交換や協力を排除するものではないと思います。
宮家の採点
悪魔のささやき
①○ 台湾が独立宣言すれば、中国は武力行使し、アメリカは介入しない
②△ 経済の対中依存は否定し難いが、それは武力制圧を容認しない
③○ アメリカが介入しなければ統一は可能だろう
④○ 台湾と外交関係を結ぶ国が増えるとは当面思えない
天使のさえずり
①× 「軍事侵攻」の口実は何とでも作れる
②△ 台湾半導体産業も「曲がり角」という見方は消えない
③○ 但し、潜在的支援国ができることには限度がある
④△ 中国人・台湾人「両方」の回答が今も3割あることは要注意