アメリカと中国の関係は当面改善しない

⑤イスラムと相容れない中華

イスラムと中華は融合が困難です。豚肉と酒と女性が不可欠な中国文化と、これらに最も厳しいイスラムの共存は容易ではありません。特に、アッラーへの帰依を最重視するイスラム教徒に対し、「共産党の指導を優先せよ」と求めるのですから、摩擦が生じるのも当然でしょう。

⑥アメリカと中国は永久に敵対するのか

1989年の天安門事件後の西側の対中政策は、「中国を豊かにし、市民社会を作って民主化を進める」ことでした。しかし、この目論見は失敗し、それにようやく気付いたアメリカはオバマ政権2期目から対中政策を転換して、今や高関税や技術移転制限など様々な経済制裁を科しています。

中国はアメリカの第1の戦略的競争相手、事実上の仮想敵国であり、両国関係は当面改善しないでしょう。他方、アメリカ、中国とも軍事的衝突は望みませんので、相互に誤算や読み違えが生じないよう対話を続けるべきです。その観点からは、日本はアメリカなどと共に中国を抑止しつつ、日中間の対話を継続する努力を続けるべきです。

宮家の採点

悪魔のささやき

①△ 今後中国経済は緩やかに減速していくのではないか
②△ 独裁体制は容易には内部崩壊しない
③○ 中国が西側の普遍的価値を受け入れる可能性は低い
④△ 仮に台湾統一を望んだとしても実行は容易ではない


天使のさえずり

①△ 習近平の独裁体制は万全とは言えない
②○ 突然の経済崩壊の前に突然の政治変化が起こり得る
③○ 歴代共産党政権は対米関係を最重視してきた
④△ 習近平の判断ミスの可能性こそ大いにあり得る