「チャラチャラして落ち着きがない」新人がそう評された理由

ある企業で新人教育を担当していたときに、Yさんという方が入ってきました。Yさんは明るくハツラツとした雰囲気で、何かを伝えるといつも元気よく返事をしてくれる人でした。けれども、周囲からの評価は「落ち着きがない」「チャラチャラしている」というものが多く、特に上司からは厳しく言われることが少なくありませんでした。

一番の問題は、Yさんの聞き方にありました。特に気になったのは、こちらが話している間中、細かくずっと頷き続けているのです。

聞いているという姿勢はいいのですが、連続的な細かい頷きは、理解や共感というよりも、形としてとりあえずやっているように見えることもあるのです。Yさんにはまず頷きを必要最小限にする意識を持ってもらうことを伝え、徐々に改善していってもらいました。

ポイントは頷きの深さの使い分け

いい頷きのポイントは、回数よりも深さです。気がきく人の頷きを見ていると、相槌としての頷きは浅く、理解と共感としての頷きは深く、と変えているのがわかります。

山本衣奈子『「気がきく人」と「気がきかない人」の習慣』(明日香出版社)
山本衣奈子『「気がきく人」と「気がきかない人」の習慣』(明日香出版社)

「、」のときには浅く、「。」のときには深く頷くイメージです。

さらに言うと、「あえて頷かない」ことも大事にしています。

例えば、相手が謙遜で言ったことに、深く頷いたら傷つけてしまうこともありますよね。相手の自虐や謙遜には首をそっと横に振ったり、困ったような笑顔を見せたりするといったことが、頷きに変えられる反応の1つです。

「聞くには頷かないと!」ということだけに捉われず、「聞く=相手に寄り添う」ということを大事にしていきましょう。

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