水平思考によって閉塞市場を掘り起こせる
さらに、ハウス食品では興味深いブログとツイッターとのクロス・コミュニケーションを実施している。アイランド株式会社運営の「レシピブログ」というポータルサイトにサンプルを提供すると、それをブロガーに配ってくれる。これは、サンプルを使ったレシピをブログにアップしてもらうためなのだが、それに「コンテスト」という要素を加えると非常に盛り上がるという。
レシピブロガーが自分のレシピをアップすると、それを見た読者が投票を行うことになる。レシピブロガーとしては、順位が何番になっているかで自分のメニューの評価がわかるので、例えば「あともうちょっとで何番目になれるからお願いします」というメッセージを読者に送り、それを受けて読者が支援するという形になる。
コンテストの投票はパソコンやスマートフォンで行うのだが、投票者の中にはツイッターを行っている人も少なくない。彼女ら/彼らは、「こういうレシピが登場しています」とか、「この人のメニューが人気急上昇になりました」とかをリアルタイムでつぶやいている。このような実況中継に対し、ハウス食品サイドも独自の情報提供を行ったり、つぶやいたりして双方向のコミュニケーションを成立させ、重層的な盛り上がりを見せるのだ。
ハウス食品では、数多くの香辛料を抱えている。これらは個別のCMは行わず、レシピブログとツイッターでのクロス・コミュニケーションに注力している。「のっけてジュレぽん酢」もこの手法を活用したのだが、「結果として、若年層がすごく熱くなってくれて、これが一番のブランドになれた理由だと思います」と栗本氏は語った。
あらためて水平思考と双方向コミュニケーションの重要性を、この事例は教えてくれる。