世界100カ国以上で驚異的に売れている筆記具「フリクションボール」。デジタル化が進む中で、なぜ、アナログの筆記具がこれほど人気を集めているのだろうか。

消せるインキはどうして生まれたか

デジタル化が進展し、手書きの文字を残す機会が明らかに減少した昨今、ボールペンという伝統的筆記具でありながら、大ヒットを飛ばしている商品がある。パイロットコーポレーションの「フリクションボール」だ。2006年にフランスで発売以来、約6年間で実に累計4億本超を売り上げている。マーケットの地理的なカバレッジも大きく、世界100カ国以上で販売されている。

この商品の特徴は、ボールペンで書いた文字がペン尾についているラバーで擦ることによって容易に消せる点にある。もちろんラバーは消しゴムではなく、摩擦熱を起こすためだけのツールなので、いわゆる消しカスのようなゴミは一切出ない。

ただ、「消せるボールペン」というアイデアは、特段目新しいものではない。パイロットコーポレーション営業企画部営業企画課主任の田中万理氏によれば、「1980年代からありました」とのことで、筆者も学生時代に使った思い出がある。「消せるボールペン」は筆記具業界では幾度もチャレンジしては、消えていったアイデアだったのだ。